2015 Fiscal Year Annual Research Report
乳酸菌の皮膚角化細胞炎症応答抑制に基づくアトピー性皮膚炎改善効果の検証
Project/Area Number |
25850190
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
河原 岳志 信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (30345764)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 乳酸菌 / 皮膚角化細胞 / アトピー性皮膚炎 / ケモカイン / TARC |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト皮膚角化細胞株HaCaT細胞の培養系においてTNF-α誘導性のTARC(胸腺および活性化制御ケモカイン)発現を抑制する乳酸菌株として選抜したLactocbacillus reuteri JCM 1112株の、生体塗布による症状の発症に及ぼす効果について明らかにすることを目的に、アトピー性皮膚炎モデルマウスを用いた検討を行った。 検討に先立ち、JCM 1112株の加熱死菌体を破砕し、水-ブタノール分配抽出によって得られた抽出物がヒト皮膚角化細胞株HaCaT細胞のTARC発現に及ぼす影響ついて確認を行った。活性が確認された水抽出物(LW)を、0(コントロール群)、1 mg(1 mg LW塗布群)および10 mg(10 mg LW塗布群)ずつ週2回の頻度でNC/Nga系マウス皮膚に塗布し、コナヒョウヒダニ抽出物添加軟膏によって誘導される皮膚炎の発症に及ぼす効果について21日間(試験全体で28日間)観察を行った。 検討の結果、10 mg LW塗布群において試験期間を通じた皮膚炎の抑制傾向が観察され、LW塗布開始後25日目にコントロール群と比較して皮膚炎の有意(P < 0.05)な抑制が観察された。なお、試験期間を通じて両濃度のLW塗布によって体重の変化や経皮感作によると思われる症状の悪化は観察されなかった。 本研究は乳酸菌がTLR2を介してマスト細胞の脱顆粒反応を抑制することに着想を経て、TLR2を発現する皮膚角化細胞での新たな機能性を明らかにすることを目的に研究を行ってきた。本研究を通じて、TNF-αによる誘導されアトピー性皮膚炎に関係する角化細胞由来主要ケモカインの一つであるTARCの発現に対する乳酸菌の新たな生理作用が明らかになったほか、その作用が皮膚炎モデルマウスにおいても皮膚炎抑制効果として示され、乳酸菌の新たな利用法につながる可能性をもつ研究成果が得られた。
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Research Products
(3 results)