2013 Fiscal Year Research-status Report
イヌジステンパーウイルスの霊長類での病原性獲得機序の解明
Project/Area Number |
25850202
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
酒井 宏治 国立感染症研究所, その他部局等, 主任研究官 (70515535)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ウイルス / 感染症 / 獣医学 / 人獣共通感染症 / 実験動物学 |
Research Abstract |
(1)レセプター指向性及びウイルス増殖能の解析 サルから分離されたCDV CYN07-dV株をヒトSLAM発現Vero細胞へ1継代馴化後、プラッククローニングした。得られたヒトSLAM馴化株には、3つの変異パターン(R519S, D540G, P541S)が認められ、それら馴化株は、イヌとサルに加え、ヒトのSLAMとnectin4の両方とも効率良く使えるウイルスであった。また、サル分離株で得られた変異を、イヌ分離株に導入した場合、株により、ヒトSLAM利用能を獲得出来ない、もしくは本来のSLAMやnectin4利用能の低下が認められた。したがって、これら変異は、本来の性状を保持しつつ、さらにヒトSLAM利用能を獲得できる普遍的な変異でなく、ウイルス株により異なることが考えられた。興味深いことに、あるイヌ分離株では、サル分離株同様に、本来の性状を保持しつつ、さらにヒトSLAM利用能を獲得できた。 (2)レセプター機能性の解析 SLAMは、V領域とC2領域からなり、V領域がH蛋白質との結合を担う。予想通り、V領域がhSLAM、C2領域がmacSLAM由来のキメラSLAMはCDV H蛋白質の受容体として機能しなかったが、その逆のV領域がmacSLAM、C2領域がhSLAM由来のキメラSLAMは受容体として機能できた。hSLAMとmacSLAMのV領域の配列を比較したところ、2つのアミノ酸置換のみ認められた。hSLAMのV領域にmacSLAMの2つの変異(R28H、Y49H)を点変異導入したところ、両方の変異を導入した変異体でのみ、CDV H蛋白質の受容体として機能した。以上より、この2つのアミノ酸の違いが、ヒトとサルのCDVへの感受性の違いを決めていると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroのウイルスのレセプター指向性解析及びレセプター機能性解析は、当初の計画以上進んでいる。in vivoのサル感染実験について、他のグループにより、イヌで強毒型の野生型CDV分離株のサル感染実験が報告された、それにより必要な情報が得られたため、実施は見合わせ、in vitroの解析に専念した。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)レセプター指向性及びウイルス増殖能の解析:野生型CDVイヌ分離株とサル分離株のヒトSLAM利用能獲得に関わる決定因子の違いをアミノ酸レベルで同定する。 (2)レセプター機能性の解析:平成25年度で作製したSLAM変異体プラスミド及びヒトSLAM馴化株を用いて、CDVのヒトSLAMの利用のための宿主側の因子を同定する。 (3)動物感染実験:サル分離株、野生型CDVイヌ分離株、MeVを用いて、フェレットで免疫獲得後の交叉感染実験を行い、液性免疫における、CDVとMeVの交叉防御について解析を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
サル感染実験解析サル感染実験の解析用試薬(消耗品)が使用しなかったことに起因すると考えられる。 in vitro解析は、当初の計画以上に進んでいるため、その解析に必要な試薬の購入に用いる。
|
Research Products
(5 results)
-
[Journal Article] Canine distemper virus associated with a lethal outbreak in monkeys can readily adapt to use human receptors.2013
Author(s)
Sakai K, Yoshikawa T, Seki F, Fukushi S, Tahara M, Nagata N, Ami Y, Mizutani T, Kurane I, Yamaguchi R, Hasegawa H, Saijo M, Komase K, Morikawa S, Takeda M.
-
Journal Title
J Virol.
Volume: 87
Pages: 7170-7175
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-