2014 Fiscal Year Research-status Report
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25850208
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
馬場 健司 山口大学, 獣医学部, 准教授 (90452367)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腫瘍 / ウイルス / 犬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,犬のリンパ腫におけるウイルス感染の関与を検討し,発癌因子としての可能性を明らかにすることである。本年度は,前年度に引き続き犬のリンパ腫症例から採取した腫瘍細胞の培養上清を検体として,Rapid determination system for viral nucleic acid sequences (RDV) 法を用いて感染ウイルスの網羅的検出を試みた。リンパ腫と診断された14症例から腫瘍細胞を採取し,in vitroで3日間培養後の上清中からRNAを抽出しRDV法に供した。その結果,いずれの検体においてもウイルス遺伝子断片は検出されなかった。検出された遺伝子断片の塩基配列解析では,多くの場合,バクテリア類の遺伝子が増幅されていたため,現在,RNAの抽出法やRDV法に用いるプライマーの変更および反応条件を検討中である。一方,ヒトのいくつかのリンパ腫サブタイプで発がんに関与していることが知られているEpstein-Barr virus (EBV) の感染を検討するため,リンパ腫細胞におけるEBVの遺伝子増幅を試みた。しかし,これまでのところEBVの遺伝子は検出されていない。前年度までの血清学的検討の結果もふまえて,犬のリンパ腫発生におけるEBVの関与は一般的ではないと考えられた。ただし,その他のガンマヘルペスウイルスの感染については不明であり,さらなる検討の余地があると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
得られた検体数が少なかったこと,想定していたウイルス遺伝子断片が検出されなかったことが理由としてあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
継続して臨床検体における感染ウイルスの網羅的解析を行うとともに新たに培養細胞株での解析も試みる。感染ウイルスの遺伝子が検出された場合には,当初の予定通りに大量シークエンスによるウイルスゲノム解析を実施する。また,ガンマヘルペスウイルスについては,ヒトヘルペスウイルス8などのEBV以外のウイルスも含めた検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度には腫瘍関連ウイルスのゲノム解析を行う予定であったが,これまでに該当するウイルスが検出されていないため,上記の解析に至らず未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未知のウイルスのみならず,既知のウイルスも含めた解析と学会および論文での成果発表を次年度に行うこととし,未使用額はその経費に充当する計画である。
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