2014 Fiscal Year Research-status Report
抗ミューラー管ホルモンを用いた新しい繁殖管理技術の開発
Project/Area Number |
25850209
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
北原 豪 宮崎大学, 農学部, 助教 (90523415)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 抗ミューラー管ホルモン / 黒毛和種 / 繁殖管理 / 臨床バイオマーカ― |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、黒毛和種雌ウシにおいて、試験1では出生後から春機発動(初回排卵)、試験2では分娩前から分娩後の初回排卵について、同一個体における抗ミューラー管ホルモン(AMH)などの臨床バイオマーカー候補の動態を明らかにし、生時より備わっている繁殖能力や周産期における非生産時の繁殖機能を評価する新しい繁殖管理技術の開発を行う。 平成26年度は、試験2で目標である50頭の採材を概ね終了し、試験1で40頭の黒毛和種育成ウシについて、出生後0週から60週の隔週にサンプルの採取とともに超音波検査を開始し、12頭について卵胞刺激ホルモン(FSH)およびAMHの解析を行った。0週から60週の間において、FSHは0.31から5.15ng/mlの間で推移し、0週に比べ10週、18~30週、36週、38週、42~52週で有意に高くなることが分かった。また、AMHは0.01から1.97ng/mlの間で推移し、0週に比べ8~16週で有意に高くなることが分かった。 以上より、顆粒層細胞に作用する下垂体前葉由来のFSHと顆粒層細胞のみから分泌されるAMHでは出生後から春機発動までの動態を異にし、AMHがFSHに先行して分泌レベルのピークを迎えることが明らかとなった。このことは、AMHは、FSHによる制御を必要とせず、出生後早い時期に必要とされる生理的事象の存在が示唆された。この差異が将来的な繁殖性に及ぼす影響について、今後検討していく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試験1および試験2の両試験において、1農場において継続的な採材を行う環境を整えることができている。 平成25年度の試験2における解析の開始に加え、平成26年度は試験1においても解析を開始することができた。当初計画では、両試験において目標とされるサンプル数を各50頭としていたことから、概ね順調に材料の採取が開始できており、計画が進展していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度となる平成27年度は、引き続きサンプルの採取を継続して試験1および2の解析をより進めるとともに、新たな繁殖管理技術に相応しい臨床バイオマーカーとその評価時期について検討を行う。 また、試験1および2で得られたAMHによる新たな繁殖管理技術を研究代表者らが定期的に繁殖検診を行っている民間農場(9戸)をモデルとした実証試験を行う。飼養環境や血統などの遺伝的要因によるバイオマーカーへの影響を明らかにする他、AMH単体をはじめ、他のバイオマーカー候補との複合による評価も考慮しながら、PDCAサイクルを回し、新たな繁殖管理技術の確立に向けた準備を進めていく。
|
Causes of Carryover |
平成26年度に購入を予定していたプラスチック資材を購入するには不足額が生じたため、年度内での納品が困難となった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度での購入を計画し繰越とした。
|