2013 Fiscal Year Research-status Report
APOBEC2 によるオートファジー制御と生理的意義の解明
Project/Area Number |
25850218
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
佐藤 祐介 宇都宮大学, 農学部, 助教 (50589520)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 骨格筋 / オートファジー |
Research Abstract |
研究代表者はこれまでの研究から、 脱アミノ化酵素 APOBEC2 を欠損すると筋疾患および骨格筋重量の減少を引き起こすことを明らかにしている。その原因がオートファジーの異常に起因すると予想し、初年度(平成25年度)の研究計画は、オートファジーの亢進(あるいは抑制)が起こっているか確認することであった。すでに、APOBEC2 欠損マウスの骨格筋では、オートファジーマーカーである LC3 が活性化していることがわかっている。そこでまず、他のマーカータンパク質(p62, poly-Ub, PINK1, Parkin)および遺伝子(map1lc3b, gabarapl1, pink1, park2)の発現量を定量した結果、オートファジーが亢進している可能性が示唆された。APOBEC2 欠損マウス骨格筋の電顕写真から、異常なミトコンドリアが多く観察されたことから、ミトコンドリアマーカー(pdk4, ucp3)の遺伝子発現を定量すると、顕著な増加がみられた。一方で、mtDNA コピー数に増加はみられなかったことから、APOBEC2 欠損筋中のミトコンドリアで、何らかの異常が起こったと考えられる。また、ミトコンドリアのオートファジー(マイトファジー)のマーカータンパク質 (PINK1, Parkin) の発現量が増加していたことから、APOBEC2 欠損により発生した異常ミトコンドリアを分解するために、マイトファジーが亢進した可能性が考えられる。近年、マイトファジーの破綻が、骨格筋量の減少に繫がることが明らかになっている (Lokireddy, Cell Metabol., 2012)。即ち、APOBEC2 欠損マウスでみられた骨格筋量の減少は、マイトファジーの異常が原因である可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の「研究の目的」は、APOBEC2 欠損マウスの骨格筋でオートファジーが亢進しているかどうか、確認することであった。当初予定していた GFP-LC3 マウスは用いていないが、複数のオートファジーマーカーの定量及び組織学的検討から、オートファジーの中でもミトコンドリア選択的なマイトファジーが亢進している可能性が示唆された。電顕解析の結果、APOBEC2 欠損筋ではミトコンドリアの異常が起こっていたため、それを排除するためにマイトファジーが亢進していると予想している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究から、APOBEC2 欠損マウスの骨格筋で、ミトコンドリアの異常及びそれに伴うマイトファジーの亢進が確認された。APOBEC2 の分子機能は不明であるが、ミトコンドリアの恒常性の維持に関与している可能性も考えられる。APOBEC2 欠損マウスの骨格筋でみられた筋疾患や筋萎縮との関係を明らかにするため、次年度はオートファジーのみでなく、ミトコンドリアや代謝に着目して研究を進展させる必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の研究計画では、GFP-LC3マウスを用いてオートファジーを詳細に評価する予定であった。しかし、他の様々なマーカー分子をタンパク質及び遺伝子レベルで多角的に検討したことで、オートファジーの亢進を十分に評価できたため、GFP-LC3マウスを使用する必要がなくなった。そのため、マウス購入費および維持費が不要になり、抗体やリアルタイムPCRのための消耗品のみを購入したため、次年度使用額が生じた。 初年度の研究結果から、APOBEC2欠損マウス骨格筋ではオートファジーやマイトファジー(ミトコンドリアのオートファジー)の亢進が観察された。特に、肥大化したミトコンドリアが多く見られたことなどから、代謝の異常が起こっている可能性が考えられる。近年、様々な細胞内代謝物がオートファジーを制御することが明らかになってきた。そこで、メタボローム解析(受託解析)により、代謝物の網羅的解析を行い、APOBEC2欠損によるオートファジー亢進の原因を探る。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Preliminary time-course study of antiinflammatory macrophage infiltration in crush-injured skeletal muscle.2013
Author(s)
Shono JI, Sakaguchi S, Suzuki T, Do MK, Mizunoya W, Nakamura M, Sato Y, Furuse M, Yamada K, Ikeuchi Y, Tatsumi R
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Journal Title
Animal science journal = Nihon chikusan Gakkaiho
Volume: 84
Pages: 744-750
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Thiobencarb Herbicide Reduces Growth, Photosynthetic Activity, and Amount of Rieske Iron-Sulfur Protein in the Diatom Thalassiosira pseudonana.2013
Author(s)
Shimasaki Y, Tsuyama M, Tasmin R, Qiu X, Shimizu M, Sato Y, Yamasaki Y, Kato-Unoki Y, Nukata A, Nakashima T, Ichinose H, Wariishi H, Honjo T, Oshima Y
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Journal Title
Journal of biochemical and molecular toxicology
Volume: 27
Pages: 437-444
DOI
Peer Reviewed
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