2014 Fiscal Year Annual Research Report
マルチドメイン構造二重ラセン分子の合成と複合的機能
Project/Area Number |
25860002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
一ノ瀬 亘 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 研究員 (00636409)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ヘリセン / アミドオリゴマー / 二重ラセン / 伸縮ゲル / 平衡移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
アミドヘリセンオリゴマーの性質や機能を調べることで、エチニルオリゴマーと連結したマルチドメイン化合物での機能をさらに拡張できると考えた。そこでアミドオリゴマーが比較的極性の高い分子であることから水系への応用を検討することにした。単分子膜作成装置を用いて、水面上にアミドオリゴマーのクロロホルム溶液を展開して分子膜を作製した。これを石英板に移し取り、CDやAFMなどの解析を行った。得られた膜ではオリゴマーが二重ラセン構造を形成し、さらにラセン軸を水面に垂直にして二重ラセン単位が横方向に集積した分子膜を形成することが示唆された。これまでオリゴマーの二重ラセン会合構造を水面を利用して集積できる可能性がある。なお、オリゴマーがランダムコイルに解離するDMSOおよびTHF溶液を用いた際はオリゴマーが水中に析出し、膜を形成しなかった。 またアミドヘリセンオリゴマーはこれまで鎖状オリゴマーについて調べていたが、環状型オリゴマーでも分子膜などの高次構造を形成すると考え、環状3量体を合成した。CD、1H-NMRよりDMSOのような高極性溶媒中では単分子で溶解し、クロロホルムなどの低極性溶媒中では分子間会合を形成することが示唆された。 本研究全体を通して、アミドヘリセンオリゴマーとエチニルヘリセンオリゴマーという二種類の二重ラセン分子を用いて、塩の添加、除去によって伸縮する有機ゲルや、シリカナノ粒子に担持したヘリセンに二重ラセン状態を認識させ、会合解離の平衡をシフトさせるという新しい現象を見出すことができた。加えて、検討の余地があるものの、アミドヘリセンオリゴマーの膜形成や環状オリゴマーへの展開などさらなる機能開発が期待できる。
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