2013 Fiscal Year Research-status Report
アミノ酸・ペプチドの新規修飾法の開発と新規アミドイソスターの開発
Project/Area Number |
25860005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
相川 春夫 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (70547322)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ペプチドイソスター / オキサザボロリジン / 環状ペプチド |
Research Abstract |
セリン側鎖水酸基置換反応の開発に関しては基質の合成に成功し,現在触媒,反応溶媒,反応温度等最適条件の検討を行っている。 生理活性物質等として研究対象とされるペプチドが内在的に有する酵素分解性や凝集性といった問題を解決するため,新しいペプチドイソスターとしてオキサザボロリジンの設計と合成を行った。また,合成したペプチドイソスターを評価するため,CXCR4リガンドである環状ペンタペプチドFC131に本骨格を導入したもの(B-FC131)を合成した。アミノメチルボロン酸エステルを合成し,ペプチド固相合成法により得られた4残基の保護ペプチドと縮合することで5残基のペプチドイソスター保護体とした。最後にアミノ酸側鎖及びボロン酸エステルの脱保護を行い,HPLCにより精製することで目的のB-FC131を合成した。 得られたB-FC131はESI-MSにより解析を行った。主要なMSピークとして371.8, 742.6, 760.6, 778.6, 892.7が得られた。742.6のMSピークは環状B-FC131に対応するものと考えられ,このことから,ボロン酸の脱保護を行うことでN末端セリンとの分子内の脱水縮合環化まで自動的に進行し得ることが分かった。予想される生成物として環化体(化合物A)の他に一水和体(化合物B),二水和体(化合物C)が考えられ,上記ピークは[A+2H], [A+H], [B+H], [C+H], [C+TFA+H]にそれぞれ帰属される。即ち,ESI-MS条件においてB-FC131は上記A, B, Cの平衡混合物であると考えられる。また,HPLC分析の結果からB-FC131はFC131と同様の親水性を有しており,このような基本的物性変化を抑えてイソスター化可能であることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セリン側鎖水酸基置換反応を行うための基質合成には成功したが,現在条件検討中である。 一方,ボロン酸型ペプチドイソスターに関しては合成,環状ペンタペプチドへの導入,ESI-MSでの目的物生成が確認でき,順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
アミノ酸側鎖,及びペプチド末端の官能基化に関しては触媒や反応溶媒,温度を検討することで達成できると考えている。官能基化が困難な場合は,活性化されるアルキニル安息香酸誘導体をチオエステルに変えて金触媒との親和性を上げることを計画している。 オキサザボロリジンペプチドイソスターは環状ペンタペプチドイソスターの合成に成功したため,続いてCXCR4結合活性を評価する。 Fmocアミノ酸を用いたゲル生成は種々の側鎖を有するアミノ酸を合成し,ゲル化条件を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者の所属が変更され,研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため,当初の見込み額と執行額は異なったが研究計画に変更は無く,前年度の研究費も含めて当初予定通りの計画を進めていく。 前年度と同様に有機合成試薬,溶媒等の消耗品を中心に使用し,当初の見込みと同様に使用することを計画している。また,ホットスターラーを購入し,当該研究における反応の条件検討を実施する計画である。
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