2015 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸・ペプチドの新規修飾法の開発と新規アミドイソスターの開発
Project/Area Number |
25860005
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
相川 春夫 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (70547322)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アミノ酸 / ペプチド修飾 / 金触媒 / イソスター / オキサザボロリジン / ゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
ペプチドは生理活性物質として重要な分子群であるが、酵素分解性や凝集性の問題から修飾法やイソスター開発が必要である。本研究では、大きく3つの研究を行った。(1)セリン側鎖、ペプチドN,C末端の官能基化、(2)新規ペプチドイソスター開発、(3)アミノ酸誘導体を用いたゲル化研究、である。 (1)セリン側鎖水酸基の置換反応に関しては、アリル金属種、エノラート、電子豊富な芳香環化合物を求核剤として金触媒存在下種々条件検討を行ったが、目的の置換体は得られなかった。ペプチドC末端アミドのアルキル化に関しては成功した。選択性や収率の問題等改善は必要であるが、本手法が一般化できればペプチドの縮合後修飾の強力な手法となる。アセチル化されたN末端の修飾は現在のところ困難である。 (2)新規ペプチドイソスターの開発に関して、オキサザボロリジンを導入した環状ペプチドの合成に成功した。生成物のESI-MS解析の結果、本生成物は脱樹脂・脱保護後、環化反応まで進行することが予想された。三配位ホウ素上は空軌道が残るので、種々の水和体が平衡で存在するようであることがESI-MSから分かった。目的の動的に構造変化するペプチドイソスターの開発に成功した。本化合物に対し、抗HIV-1活性試験および細胞毒性試験を行ったところ、10microMの濃度では細胞毒性はないものの、抗HIV-1活性を示さなかった。ペプチドイソスターの環化状態の安定性が問題であると考えられる。本化合物の安定性が調整できれば標的に対してinduced fitする化合物となり、創薬の観点から重要な骨格になると考えている。 (3)Fmocアミノ酸のゲル化研究では、4-ペンテン側鎖を有するFmocアミノ酸で種々の有機溶媒のゲル化を検討した。非極性溶媒でゲル化が起こることが分かった。論文準備中であったが、同様の研究成果がNilssonらによって報告された。
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