2013 Fiscal Year Research-status Report
新規作用機序に基づく抗がん剤の創製を目指した天然物の合成および構造活性相関研究
Project/Area Number |
25860015
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
小林 健一 明治薬科大学, 薬学部, 助教 (30639282)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 天然物の全合成 / Phaeosphaeride A / 抗がん剤 |
Research Abstract |
平成25年度は、STAT3阻害活性を有する天然物phaeosphaeride Aの相対および絶対立体配置を含む真の構造を決定することを目的として、Clardyらによって提出された構造のC-7位立体異性体である訂正構造の全合成研究を行った。 合成方法に関しては、基本的には提出構造を合成した際に開発したルートに準じて行った。まず、phaeosphaeride A(訂正構造)が有する三つの不斉中心のうちC-7及びC-8位については、Still-Gennariタイプのホスホネート試薬を用いたZ-選択的なHorner-Wadsworth-Emmons反応とこれに続くSharplessの不斉ジヒドロキシ化によって構築し、98%ee以上の中間体を得た。またC-6位の不斉中心については、分子内ビニル-アニオンアルドール反応によって構築した。本反応はナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドを塩基として用いると、高収率かつ高立体選択的に進行することを見出した。以上により、phaeosphaeride A(訂正構造)の全合成に必要な連続する3つの不斉中心を備えたジヒドロピラン誘導体を効率良く得ることができ、その後数段階の変換でphaeosphaeride A(訂正構造)の全合成を達成した。 合成した化合物と天然物は、1Hおよび13C NMRともに非常に良い一致を示したため、天然物の相対立体配置を決定することができた。また、合成品の比旋光度の符号は天然物と逆であったことから、天然物の真の構造は、今回合成した化合物のエナンチオマーであると決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
STAT3阻害活性を有する天然物であるphaeosphaeride Aのエナンチオマーの全合成に成功し、天然物の相対および絶対立体配置を含む真の構造を決定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
収率や選択性が中程度であった工程を改善して合成ルートを効率化し、天然物の全合成に応用する。また、構造活性相関研究に向けたphaeosphaeride Aの各種誘導体の合成を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国内旅費を予算に計上していたが、本年度は使用がなかったため次年度使用額が生じた。 消耗品費に関しては、実験の遂行に必要不可欠な試薬類、各種ガラス器具、化合物の精製に必要なシリカゲル等の購入に充てる。また旅費等に関しては、学会発表の際の参加費、交通費、および宿泊費に充てる予定である。その他に関しては、英文校閲料、論文投稿料、論文別刷料に充てる。
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Research Products
(9 results)