2013 Fiscal Year Research-status Report
金属触媒を用いないクロスカップリング反応の開発とその応用研究
Project/Area Number |
25860017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
森本 功治 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 助教 (10543952)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ビアリール / ヨウ素 |
Research Abstract |
ビアリール類の中で、フェノール骨格を有する化合物は生物活性天然物など重要な化合物に見られる骨格である。最近研究代表者は、フェノール類であるカテコールのカップリング反応が、特定のプロトン酸を添加すると進行し、ディスコティック液晶材料の中間体、機能性有機材料の原料として有用な2,3,6,7,10,11‐ヘキサヒドロキシトリフェニレン(HHTP)が得られることを見出した(Eur. J. Org. Chem., 2013, 1659-1662)。そこで本法を応用することにより最近、フェノール類の酸化的クロスカップリング反応へと展開することに成功し、種々のクロスカップリング体を収率良く合成することに成功した(Chem. -Eur. J., 2013, 19, 8726-8731.)。 一方で含窒素芳香族ビアリール類は生物活性天然物や医薬品に多くみられる重要な化合物であり、その簡便な合成法の開発は有機合成上重要である。今回研究代表者は、含窒素ヘテロ芳香族化合物であるピロール類のヨードニウム塩に注目し、その反応性を検討し新たな結合形成反応へと展開すべく検討した。その結果、種々のピロールのヨードニウム塩を、ルイス酸を添加して様々なアゾール類と反応させるとピロール類の炭素-窒素結合形成反応が起こることを明らかとした(Asian J. Org. Chem. 2014, 3 382-386)。 さらにヨウ素反応剤の触媒的利用にも注目し、アニリン誘導体の触媒的なクロスカップリング反応の開発も行い、効率的なビアリール合成法の開発に成功した (J. Am. Chem. Soc., 2013, 135, 14978~14081)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、遷移金属触媒を必要としない芳香族化合物の新規炭素-炭素結合形成反応、特にビアリール化合物合成を基盤とした反応開発を行うことを計画している。現在までに3価の超原子価ヨウ素種である芳香族化合物由来のヨードニウム塩や、フェノール類といった芳香族化合物とヨウ素反応剤との反応により生成するカチオン種の反応性を利用し、原料の官能基化を必要としない直接的なビアリール合成法の開発を行い、その結果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記に述べたように本研究では、遷移金属触媒を必要としない芳香族化合物の新規炭素-炭素結合形成反応、特にビアリール化合物合成を基盤とした反応開発を行うことを計画している。現在までに有用なビアリール合成法の確立に成功しつつあり、順調に研究は進展している。今後はさらに効率的なビアリール合成法の確立を目指し、すでに研究代表者らが有する種々の芳香族化合物に対する官能基化技術や、ヨウ素反応剤の独自の活性化法を利用することにより、高度に官能基化された芳香族化合物の独創的かつ環境調和型の合成法の実現を目指す。さらに芳香族化合物の結合形成反応だけでなく、得られた生成物に関して導電性ポリマーなど有用物質への変換を行い、本手法の実用性を明らかにする。
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