2014 Fiscal Year Annual Research Report
チロシンキナーゼの安定同位体標識手法の確立と構造検出型阻害剤結合評価への応用
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25860020
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小橋川 敬博 熊本大学, 大学院生命科学研究部 (薬), 准教授 (90455600)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | チロシンキナーゼ / 阻害剤 / NMR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的はチロシンキナーゼ創薬の加速に向けての安定同位体標識試料調製法の構築と、それを駆使した構造検出型の薬剤結合評価法の構築である。平成25年度の研究により、チロシンキナーゼ発現用ベクターpCold-GKを構築し、その有用性について確認を行い、FGFR1のキナーゼドメインについて良好なNMRスペクトルが取得できることを確認した。そこで、平成26年度は、FGFR1をモデルとして、構造検出型の薬剤結合評価法の構築を試みた。最初に、ランタノイドプローブ法を利用について検討を行った。部位特異的にランタノイド結合タグを付加させるために、Cysを導入した変異体8種類を作成した。その結果、1種類について調製に成功したが、NMRスペクトルは解析に耐え得るものではなかった。そこで、Metのメチル基のNMRスペクトルの利用について検討した。ほとんどのチロシンキナーゼはC-helix上にMetがあり、多くのチロシンキナーゼが活性化ループ周辺にMetを有するので、Metのメチル基の信号はチロシンキナーゼの構造状態を検出する上で有用なプローブであると推測された。C-helixの構造変化、DFG-motifの構造変化が起こることが結晶構造から明らかとなっている2種類の変異体について、NMRスペクトルを測定したところ、それぞれの構造変化に対応した部位のMetのシグナルの変化が確認され、Metプローブの有用性が示された。 研究期間を通して、チロシンキナーゼの汎用的な安定同位体標識法の開発については順調に達成できた。構造検出型の薬剤結合評価法についても、概ね順調であったと考えている。今後、様々なチロシンキナーゼに適用し、がん変異体の動的構造特性の解明、阻害剤耐性機構の解明につながると期待している。
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