2014 Fiscal Year Research-status Report
中性子回折による水和構造理解と新規FPPS阻害剤の開発
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25860022
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
横山 武司 富山大学, 医学薬学研究部(薬学), 助教 (50524162)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ファルネシル二リン酸合成酵素 / ビスホスホネート / 中性子結晶構造解析 / イソペンテニル二リン酸 / 医薬品化学 / 構造生物学 / 蛋白質科学 / 生物物理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題はファルネシル二リン酸合成酵素(FPPS)を阻害する非ビスホスホネート系化合物を論理的に開発することを目的としている。それために必要な水素原子を含む“完全な”立体構造を明らかにするべく、FPPS-リセドロネート(RIS)複合体の中性子結晶構造解析を行っている。まず、前年度にドイツの中性子ビームラインFRMIIで収集したFPPS-リセドロネート複合体の中性子結晶構造をジョイント精密化を行い、精度の高いモデルを構築することができた(R=18.6%, Rfree=22.9%)。さらに、基質であるイソペンテニル二リン酸(IPP)を加えたFPPS-RIS-IPP三者複合体結晶の中性子結晶構造解析を大強度陽子加速器施設のBL-03、iBIXで中性子回折データ収集を行った。データ処理をおこない、2.4Åまでのデータを用いてジョイント精密化した結果、Rfactor,Rfreeがそれぞれ26, 28.7%となった。これらの構造から、RISのピリジン環はプロトン化された状態でFPPSに結合することがわかった。このプロトン化は近傍のT201、K200、Q240、D244、水分子を含む水素結合ネットワークの形成に必須であり、RISの安定な結合に寄与していることがわかった。また、周囲のグルタミン酸のプロトン化状態がリガンド結合に伴って変化することを明らかにし、RISやIPPのリン酸基のプロトン化状態を決定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題を達成するために必要な中性子結晶構造データが順調に得られているため、進捗は概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
リガンド結合に伴うプロトン化状態の変化やFPPSに結合したRISのプロトン化状態など、阻害剤の結合と阻害能力の関係を深く考察する。また、中性子構造を用いてファーマコフォアモデルを構築し、コンピューターを用いた仮想化合物ライブラリのスクリーニングを行う。
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Causes of Carryover |
中性子回折データ収集が期待していた以上のデータが得られたため、結晶化条件を最適化する必要がなくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
化合物の探索の幅を広げるために使用する予定である。
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