2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25860027
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
江川 祐哉 城西大学, 薬学部, 准教授 (90400267)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シクロデキストリン / フェニルボロン酸 / インスリン / ポリシュードロタキサン / シュードポリロタキサン / 刺激応答性 / 糖応答性 / 人工膵臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの検討により,糖応答性インスリンデリバリーシステムの作動原理の構築に成功している。このシステムは分子ネックレスという超分子構造を利用したものであり,環状分子と鎖状高分子を基本構造とする。環状分子であるシクロデキストリンに糖応答性分子のフェニルボロン酸を修飾した誘導体(PBA-γ-CyD),および鎖状高分子であるポリエチレングリコールの片方の末端にナフタレン,もう片方にインスリンが修飾された誘導体(Naph-PEG-Ins)を用意し,これらを組合せることにより,分子ネックレスPBA-γ-CyD/Naph-PEG-Insが得られた。このPBA-γ-CyD/Naph-PEG-Insは糖を共存させることにより崩壊し,Naph-PEG-Insを放出した。 平成27年度には,より低濃度で機能する糖応答性インスリンデリバリーシステムの構築を目指し,ニトロフェニルボロン酸(NPBA)を修飾したγ-CyD(NPBA-γ-CyD)とNaph-PEG-Insを組合せ,分子ネックレスNPBA-γ-CyD/Naph-PEG-Insの調製を試みた。両物質を溶液中で共存させることにより,NPBA-γ-CyD/Naph-PEG-Insが固体として得られた。構造解析の結果,この分子ネックレスもニトロ基が導入されていない場合と同様,γ-CyD誘導体を用いているにも関わらずCyD空孔に2本でなく1本のPEG誘導体が包接されている,珍しいタイプの分子ネックレスであることが確認された。糖応答性を評価したところ,ニトロ基が導入されていないものに比べ,より低い糖濃度で崩壊し,Naph-PEG-Insを放出した。さらに,NPBA-γ-CyD/Naph-PEGの形成過程の調査から,ニトロ基が導入されることにより,ボロン酸残基がCyDに包接されにくくなり,分子ネックレスになったときの糖応答性の改善に寄与しているという,新たな知見が得られた。
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