2013 Fiscal Year Research-status Report
PET分子イメージング技術による経鼻吸収メカニズム解明と評価法の構築に関する研究
Project/Area Number |
25860036
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
新垣 友隆 独立行政法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, 研究員 (60643187)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | PET / 経鼻吸収 / DDS / 薬物動態学的解析 / 製剤 |
Research Abstract |
Positron Emission Tomography (PET) probe経鼻投与後の薬物吸収を可視化ならびに薬物動態学的(PK)に解析することによって鼻粘膜透過と製剤特性の関係を明らかにし、また投与剤形の最適化ならびに一般化に対して実験動物を用いたPET経鼻吸収性評価システムを確立した。 現在までに、1. In vivo PET imaging法による鼻腔内投与のための実験系の構築、2. In vivo PET imaging法による鼻腔内投与後の吸収動態の解明に関する課題が終了した。具体的には、モデルPET probeとして[18F]FDGをラット鼻腔内に投与後の吸収過程を観察するための最適なPET撮像条件を設定した。また、薬物吸収性と製剤特性との関係および脳への移行性を検討した。 PET画像から、経鼻投与された[18F]FDG溶液の多くは鼻口蓋管を介して口腔内へと流出し、また麻酔下ではラットの嚥下反射が消失するため、鼻腔から排出された[18F]FDGは咽頭部に蓄積し消化管へ移行しないことが明らかとなった。PET画像データのPK解析から、薬液の投与体積の影響、製剤添加物による鼻腔内滞留性の変化を吸収速度定数、mucociliary clearance等のパラメータで評価・解析可能であった。鼻腔に近接する嗅球や脳基底部は高濃度の鼻腔内[18F]FDGの影響を強く受けるため、脳内濃度の正確な評価が困難であったが、鼻腔から距離のある大脳皮質前頭野と小脳の濃度を測定することにより、[18F]FDGの鼻腔から脳への移行性が評価できた。 PETにより経鼻投与製剤の開発・評価が容易になると同時に、脳への薬物送達の可視化という重要性の高い結果が得られた。また、難血液脳関門透過性薬剤の代替ルートとしての鼻腔-脳への直接移行性評価ツールを開発した点でも非常に意義深い研究と考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書に記載した予定のとおり、既存PETプローブを用いたin vivo経鼻吸収性の評価とその薬物動態学的評価、鼻腔内から脳への直接移行性の評価について、滞りなく進捗したため。
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Strategy for Future Research Activity |
鼻腔内投与後のPET画像の解析において、鼻腔に近接する嗅球や脳基底部は高濃度の鼻腔内PET probeの影響(こぼれ落ち効果、Spill over effect)を強く受けるため脳内濃度の正確な評価が困難であったことから、通常の方法では、脳移行性の直接的な可視化は難しいことが明らかとなった。 対応策として、脳内レセプターにアゴニストとして作用するPET probeをIV投与し、同時に同レセプターのInhibitorでBBBを透過しない非標識薬剤を高濃度経鼻投与する。 その結果、脳内へ直接移行した非標識薬剤が脳内PET probeの占有率を低下させることが予想される。この方法では、PET 画像上でspill overの影響を受けないことから、鼻腔から脳への薬物直接移行性の評価が容易になると考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、本予算を用いて海外の学会に参加する予定であったが、別予算での対応が可能であったこと、薬物動態解析ソフトのコンサルティング費用を当初5時間分(約20万円)と見積りしていたが、実際には1時間(4万円)で終了したため、残額約30万円が未使用額として発生した。 小額ということもあり、H26年度請求額と合わせて次年度使用計画に特段の変更はなく使用する。
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