2014 Fiscal Year Research-status Report
個別化医療の実現を目指したVKORC1の立体構造解析
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25860089
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
日下部 吉男 昭和大学, 薬学部, 助教 (30338537)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 個別化医療 / ワルファリン / 構造生物学 / VKORC1 / ゲノム薬理 |
Outline of Annual Research Achievements |
ワルファリンは、抗凝血剤あるいは抗凝固剤として古くから日本のみならず世界中で広く使用されてきた薬剤の一種であるが、至適投与量に個人差がある上に治療域が狭いため、専門医を超えて広く使用される状況にはない。ワルファリンのターゲットとなるVKORC1の遺伝子多型はワルファリン使用量の最重要決定因子であるが、VKORC1の立体構造が明らかになっていないため、分子メカニズムやワルファリンによる阻害機構は明らかにされていない。本研究では、ヒト由来VKORC1(以下hVKORC1と言う)とワルファリン複合体の立体構造を高分解能で明らかにし、分子メカニズムやワルファリンによる阻害機構を解明することで、様々な変異に対して有効なワルファリン類似薬開発の手がかりを得ることを目指している。本研究ではX線結晶構造解析の手法を用いて、hVKORC1の立体構造を明らかにすることを目指しているが、タンパク質の結晶化には大量の精製タンパク質が必要なため、一度の培養で効率よく大量にhVKORC1が得られるように、コドンの最適化を行うことで発現系の再構築を行った。 GeneScript社にコドンの最適化およびDNA合成を依頼し、バキュロウイルス発現ベクター中に組込み、Sf9細胞にTransfectionすることでhVKORC1発現能を持ったバキュロウイルスを作成した。作成したウイルスをSf9細胞に感染させることで、hVKORC1タンパク質の発現を確認することができたことから、hVKORC1を大量に得ることに成功した。その後、TALONカラムを用いたアフィニティークロマトグラフィー、HiTrap Qカラムを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー、Superdex 200pgを用いたゲル濾過クロマトグラフィーの3種類のクロマトグラフィーを行うことで、SDS-PAGE上、純品のhVKORC1を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
X線結晶構造解析法を用いたタンパク質の構造解析は、大量の精製タンパク質が必要となる。既に発現系を構築していたが、研究を迅速に遂行するために、一度の培養で大量にタンパク質を得られるよう、コドンの最適化を行うことで発現系の再構築を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
コドンの最適化を行い、発現系の再構築を行うことで、一度の培養でより大量のhVKORC1を得ることが出来るようになり、結晶化条件の探索を効率よく行うことが出来るようになった。今後は、多くの結晶化条件を用いたスクリーニングを行い、hVKORC1の立体構造を明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
既にタンパク質を発現させる発現系を構築していたが、研究を効率よく行えるように、一度の培養量でより多くのタンパク質が発現できるよう、コドンの最適化を行い、発現系を再構築したことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
効率よく研究が進むように、一度の培養量でより多くのhVKORC1を発現させる発現系の構築に成功したので、来年度は多くの結晶化条件をスクリーニングし、迅速に構造解析まで進みたいと考えている。
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