2014 Fiscal Year Research-status Report
p53遺伝子中のナンセンス変異を標的としたリードスルー抗癌剤の創製
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25860092
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
高山 健太郎 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (70611482)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リードスルー / 細胞増殖抑制 / Calu-6 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の成果により、最も高い細胞増殖抑制活性を示したTCP-169に加え、別途構造活性相関研究より得られてきた一連の高活性リードスルー化合物をヒト肺腺癌由来Calu-6細胞(R196X)に作用させ、その細胞増殖抑制活性を指標にとしてスクリーニングした。結果、やはりTCP-169が最も高い活性を示したことから、本化合物を用いて機能解析を実施することにした。 p53タンパク質の機能を強化する試薬を共投与することで、リードスルーによりCalu-6細胞において再発現したp53タンパク質が機能し細胞増殖抑制に至っているかどうかをまず検証した。p53タンパク質量を負に制御するタンパク質Mdm2の阻害剤ナトリン-3を共投与することで、TCP-169の細胞増殖抑制活性は有意に増強された。さらに、ストレス応答によりp53タンパク質の核内移行が促進することから、小胞輸送阻害剤ブレフェルジンAの共投与を試みた。結果、TCP-169の細胞増殖抑制活性は有意に増強された。ナトリン-3、ブレフェルジンAともに、単独ではCalu-6細胞の増殖には影響しなかったことから、TCP-169のリードスルーに基づく再発現したp53タンパク質がより機能的に働くことによる活性増強と考えられる。 また、陰性対照としたCOS-7細胞においては、リードスルー化合物として古くから知られているアミノグリコシド系抗生物質G418が、毒性とみられる細胞増殖抑制活性を示したことから、TCP-169はより低毒性のリードスルー化合物であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず行った構造活性相関研究により、機能解析を実施可能なリードスルー化合物TCP-169を決定することができた。p53タンパク質の機能を強化する試薬を併用することで、TCP-169単独投与時に比べて高い細胞増殖抑制効果が得られたことから、リードスルーにより再発現したp53タンパク質が機能的に働いていることを裏付ける証拠の一つを得ることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
リードスルーにより再発現したp53タンパク質の機能を裏付ける更なる解析として、p53レポーター遺伝子やカスパーゼ阻害剤などを用いてp53依存的なシグナル経路が活性化していることを検証する。また、細胞周期に与える影響をフローサイトメトリーを用いて検証する。
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Causes of Carryover |
年度をまたいだ継続的な実験遂行のため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品(試薬)購入費として27年度早々に使用する予定である。
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