2013 Fiscal Year Research-status Report
インフルエンザウイルス感染阻害活性を示す特殊環状ペプチドの探索
Project/Area Number |
25860096
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
齊藤 誠 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 主任研究員 (20433021)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 特殊環状ペプチド / 高病原性H5N1 / HA / ワクシニアウイルスベクター / 感染防御効果 / 治療効果 |
Research Abstract |
特殊環状ペプチドのスクリーニングに用いるbaitを、従来のバキュロウイルスベクターで発現した精製HAタンパクからワクシニアウイルスベクターで発現したH5亜型の組換えHAタンパクに変更して一次スクリーニングを実施し、H5亜型HAに結合性を示す特殊環状ペプチドを4種得た。このうちの一つは、H5に加え同じGroup1に属するH1, H2亜型ウイルスに対しても増殖阻害活性を示すことを見出した。また、高病原性H5N1ウイルスを用いた致死性感染マウスモデルにおいて、この特殊環状ペプチドは既存の抗インフルエンザ薬Zanamivirよりも強い抗ウイルス活性(感染防御効果および治療効果)を示した。特殊環状ペプチドの結合部位の解析により、HAタンパク質のうち亜型間で保存性の高いstem領域に結合していることが示唆された。作用機序解析において、特殊環状ペプチドはHAによる膜融合活性を阻害することも明らかとなった。このHA膜融合活性はstem領域のfusion peptideが担うものであり、この結果からも特殊環状ペプチドがHAの保存性の高いstem領域を標的として結合することで膜融合活性を阻害していると考えられる。 次に、Group2の亜型ウイルスに対する抗ウイルス活性も備えた特殊環状ペプチドの取得を目指し、Group2のHAタンパク質を用いた二次スクリーニングを実施するべくH3亜型のHAを基にHA stemコンストラクトを構築し、これを発現する組換えワクシニアウイルスベクターを作製した。この組換えワクシニアウイルスベクターを用いて特殊環状ペプチドのスクリーニングに使用する抗原タンパクの発現・精製を行い、現在これを用いた特殊環状ペプチドのスクリーニングを実施している。平成26年度は、二次スクリーニングで得られる特殊環状ペプチドについて、Group1, Group2の全ての亜型ウイルスに対する感染阻害効果を検証し、その作用機序の解析を進めていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Group1のH5亜型のHAをbaitとした一次スクリーニングで得られている特殊環状ぺプチドについては作用機序解析とin vivoでのインフルエンザウイルス感染防御効果および治療効果の検証まで進めており、おおむね順調である。さらに、Group2に属する亜型ウイルスに対する抗ウイルス活性も示す特殊環状ペプチドの取得を目指し、現在Group2のH3亜型のHAをbaitとした二次スクリーニングを進めている。平成26年度は、二次スクリーニングで得られる特殊環状ペプチドについて、Group1, Group2の全ての亜型ウイルスに対する感染阻害効果を検証し、その作用機序の解析を進めていく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまで進めてきた一次スクリーニングで取得した特殊環状ペプチドの解析結果および現在世界中で進められているインフルエンザのパントロピックワクチン作製の研究報告などを踏まえると、ある亜型に特異性が高い抗体および特殊環状ペプチドは亜型を越えた抗ウイルス活性を示さない可能性が示唆されたことから、スクリーニングを1種類の亜型のHA stemコンストラクトだけで進めていくという当初の方針では全ての亜型ウイルスに対する抗ウイルス活性を示す特殊環状ペプチドの取得という本研究目的の達成につながらない可能性がある。そこで、スクリーニングの段階で複数の抗原性が大きく異なる亜型HAを用いることで高い特異性に収束せず全てのHA亜型において保存性の高い構造に結合する特殊環状ペプチドの取得を目指す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の実験計画では平成25年度で特殊環状ペプチドのスクリーニングに関わる物品費を想定して計上していたが、スクリーニングの一部が平成26年度にずれこんだために次年度使用額が生じた。 平成26年度にずれ込んだスクリーニングの実施により、これに係る物品費として使用する予定である。
|
-
[Presentation] 3. Influenza viral hemagglutinin-targeted macrocyclic peptides as an antiviral agent2013
Author(s)
M. Saito, M. Ozawa, F. Yasui, T. Sasaki, T. Munakata, Y. Tobita, R. Ito, K. Munekata, K. Tsukiyama-Kohara, A. Sakurai, F. Shibasaki, Y. Sakoda, H. Kida, P.C. Reid, K. Kubota, H. Suga, M. Kohara
Organizer
7th Vaccine and ISV Congress
Place of Presentation
Sitges, Spain
Year and Date
20131027-20131029
-
[Presentation] 2. Influenza viral hemagglutinin-targeted macrocycles as an antiviral agent2013
Author(s)
M. Saito, M. Ozawa, F. Yasui, T. Sasaki, T. Munakata, Y. Tobita, R. Ito, K. Munekata, K. Tsukiyama-Kohara, A. Sakurai, F. Shibasaki, Y. Sakoda, H. Kida, P.C. Reid, K. Kubota, H. Suga, M. Kohara
Organizer
Options for the Control of Influenza VIII
Place of Presentation
Cape Town, South Africa
Year and Date
20130905-20130910