2013 Fiscal Year Research-status Report
心筋ナトリウムチャネル関連遺伝子解析に基づく抗不整脈薬の個別投与設計法の構築
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25860106
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
土岐 浩介 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (90620881)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナトリウムチャネル遮断薬 / フレカイニド / 有効血中濃度 / SCN5A / β1受容体 / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
ナトリウム(Na)チャネル遮断薬による不整脈治療では、一般的に有効血中濃度とされている濃度より低濃度でも効果がある患者や濃度範囲内でも効果のない患者が存在する。心筋Naチャネルの発現量や機能に影響する遺伝子多型に着目することで、有効血中濃度範囲の個人差を明らかにし、適切な投与方法を作成できる可能性がある。本年度は、心筋NaチャネルαサブユニットSCN5A遺伝子のプロモーター領域とβ1アドレナリン受容体の遺伝子変異が、Naチャネル遮断薬の有効血中濃度範囲の個人差におよぼす影響について検討した。Naチャネル遮断薬フレカイニドの臨床効果については、SCN5AプロモーターのハプロタイプB保有患者において300ng/mL未満の低濃度でも奏功するケースが多かった。一方で、ハプロタイプB保有患者では、300ng/mL以上の血中濃度でフレカイニドによる刺激伝導遅延が過剰に起きている可能性が考えられた。よって、フレカイニドの有効血中濃度は、ハプロタイプB保有患者において野生型の患者より低い可能性が示唆された。また、β1アドレナリン受容体の遺伝子変異については、フレカイニドの臨床効果がArg389gly変異によって減弱する傾向がみられており、症例数を増やして検討する予定である。さらに、フレカイニドの投与設計を行うために必要な情報として、フレカイニドの体内動態と薬物トランスポーターの関連について検討を行ったところ、フレカイニドが一部の薬物トランスポーターの基質となることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Naチャネル遮断薬フレカイニドの有効血中濃度におよぼす心筋Naチャネル関連遺伝子多型の影響についておおむね明らかにして、学会発表することができた。β1アドレナリン受容体の遺伝子変異については、次年度以降の検討においてさらに症例数を増やすことでフレカイニドの臨床効果におよぼす影響を明らかにできると考えている。Naチャネル遮断薬プロパフェノンについても検討を進めているが、症例数が十分に集まっていないため、症例数の確保に努めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
症例数をさらに確保する必要があるため、症例の集積を続ける。特にプロパフェノンの検討において、症例数の確保が十分ではないため、研究協力者として他の循環器内科の医師にも研究協力を依頼する。フレカイニドやプロパフェノンの体内動態と薬物代謝酵素や薬物トランスポーターなどとの関連が十分に明らかになっていない場合は、in vitro試験において積極的に検討して母集団薬物動態解析に反映する。また、心筋Naチャネル関連遺伝子多型に基づいた有効血中濃度を得るために必要な投与量を、得られた母集団薬物動態パラメータを用いて推定し、投与設計ノモグラムの作成を進めていく。
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