2014 Fiscal Year Research-status Report
抗癌剤による血管痛の誘発要因および予防策の基礎・臨床統合的検証
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25860109
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
菅 幸生 金沢大学, 薬学系, 助教 (00467101)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 血管痛の抑制 / オキサリプラチン / ゲムシタビン / 単位時間当たりの投与量 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度は,オキサリプラチン(L-OHP)による血管痛に焦点を当て,以下の検証を行った.L-OHP 2.5mgを1分かけて投与した際に生じる血管痛の大きさをpositive contorolとして,1)投与量,2)pH,3)投与時間のそれぞれを変化させた際の反応を比較した. 1)0.5~5.0 mg/bodyのL-OHP投与による血管痛は用量依存的に増大した.2)L-OHP投与液のpHは約4であるため,臨床でL-OHPのpH調節に用いられるデキサメタゾンを用いて,pHを7に調整したL-OHPの投与による血管痛を評価した.この結果,pHの調整を行っても血管痛の程度に違いはみられなかった.3)L-OHPの投与時間を30秒,1分,2分にした際の計測時間(3分)中の血管痛による痛みの量を比較したが,違いはみられなかった.薬剤投与中のラットの様子を撮影し,痛み行動(足を動ごかす行動)をとった時間を評価したところ,L-OHPの投与時間に依存して,行動時間が延長した.これらの結果から,投与時間を長くする(=単位時間当たりの投与量を小さくする)ことで,単位時間当たりの痛みの量が軽減できることが示された.以上のことから,L-OHPによる血管痛は,単位時間当たりの投与量に依存して,反応が大きくなることが考えられた.また,投与液のpHはL-OHPによる血管痛に影響しないことが示された.臨床で血管痛を軽減するために,投与時間の延長が有用であることが示唆され,これは予防対策を考えるうえで重要な情報となる. 上記の検討と並行して,大腸癌患者を対象としたL-OHPによる血管痛の発現率や血管痛と関連のある因子解析の調査を開始した.現在は,症例集積中であり,目標症例(200例)の70%が集積されている. 27年度は,L-OHPによる血管痛の抑制効果がある薬剤を見出し,その発現メカニズムを検討する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゲムシタビン,オキサリプラチンによる血管痛の要因を明らかにできつつある.臨床調査も開始しており,27年度中には症例の集積および解析を完了できる予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究計画を遂行しつつ,27年度にはラット血管痛評価モデルにおける非ステロイド性鎮痛薬による血管痛の予防効果を評価していく.また,症例の集積が終了次第,血管痛の要因となる因子を解析する.
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Causes of Carryover |
26年度に購入予定であった試薬1瓶が,試薬の節約により購入が不要となった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残額分の試薬は次年度に購入することとし,研究の更なる充実に活用する.
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