2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25860127
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
瀧沢 裕輔 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (40453807)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 消化管吸収 / 医薬品添加剤 / 吸収制御 / トランスポーター / 細胞間隙経路 / 細胞内経路 |
Research Abstract |
細胞間隙経路および細胞内経路を介して膜透過されるモデル薬物の膜透過に対して、21種類の医薬品添加剤(賦形剤:メチル-β-シクロデキストリン、乳糖水和物、コーンスターチ、結晶セルロース 滑沢剤:タルク、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、モノステアリン酸グリセリン、軟質無水ケイ酸 崩壊剤:デンプングリコール酸ナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム 結合剤:ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン(K29/32)、ポビドン(K90)、プルラン 放出制御剤:エチルセルロース、メチルセルロース)の影響を、摘出腸管を用いたin vitro sac法により検討した。水溶性薬物の細胞間隙経路を介する消化管粘膜透過および脂溶性薬物の細胞内経路を介する消化管粘膜透過に対して、多くの医薬品添加剤が臨床において考えられる範囲の濃度で影響を及ぼすことを見出した。また、細胞間隙経路を介する膜透過性の変化の多くは、基質薬物の透過性を増加させるものであったが、細胞内経路を介する薬物に対しては、その膜透過性を増加させるだけでなく、減少させる添加剤も認められた。さらに、細胞間隙経路を介する薬物の膜透過を増加させた医薬品添加剤添加条件において、細胞間隙経路を介する透過の制御因子として考えられているClaudin-4の小腸粘膜における発現変動を検討したが、有意な変動は認められなかった。各種医薬品添加剤による膜透過性の変動の機構の解明には至らなかったが、多くの医薬品添加剤による薬物の粘膜透過性への影響を見出した。さらに、医薬品添加剤の影響が、小腸上部の空腸と小腸下部の回腸とでも異なることを見出した。これらの結果から、医薬品添加剤の組み合わせにより、主薬の消化管粘膜透過性制御することができる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
錠剤を100から200mLで服用したときに消化管内で考えられる濃度において、各種医薬品添加剤による細胞間隙経路および細胞内経路を介する薬物の膜透過の変動が見出すことができたことから、本研究の目的の1つである医薬品添加剤の消化管粘膜透過性の変動は確認することができた。上記のように、細胞間隙経路および細胞内経路を介する薬物の膜透過に対する医薬品添加剤の影響に関してはその影響を見出すことができたが、当初の検討予定であった代表的な排泄型トランスポーターであるP-glycoprotein (P-gp)に対する各種医薬品添加剤の影響に関しては、in vitro Sac法を用いた吸収方向の膜透過の実験系では、P-gpの輸送特性から評価することができなかったため、実験系の見直しを行った。その結果、腸をシート状にして装置に張り付けるin vitro Chamber法を用いた検討に変更したため、医薬品添加剤のP-gpへの影響に関する検討は若干の遅れが生じた。現在はin vitro Chamber法の実験系は確立し、P-gpを介する膜透過に対する医薬品添加剤の影響の検討を行っている。また、両経路の透過性に強く影響を及ぼしていると考えられている因子の発現量に関しては、タンパク発現量に関しては順調にデータの採取が進んでおり、遺伝子レベルの発現量に関しても検討を進めている。そのため、研究の達成度としては概ね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時の実験計画通りに、小腸虚血再灌流障害や潰瘍性大腸炎などの消化管疾患モデルを用いて、動態学的および分子生物学的な各種検討を行い、消化管粘膜障害が生じている消化管に対する医薬品添加剤による薬物の膜透過性に及ぼす効果を、in vitroおよびin vivoの実験系により検討する。これらの検討から、正常時と病態時における医薬品添加剤の影響に差が生じるかどうかを明らかにする。それと同時に、これまでの検討結果から、細胞間隙経路および細胞内経路を介する薬物の膜透過に影響を及ぼす医薬品添加剤の種類が、想定していたよりも多かったため、それぞれの医薬品添加剤で影響を及ぼす濃度と及ぼさない濃度の境界線を明らかにするために、これまで通りのin vitro Sac法を用いて、医薬品添加剤の濃度の種類を増やした検討を行う。これらの検討から、医薬品添加剤の消化管粘膜への影響の機構論的解析を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
抗体を購入予定であったが、目的の抗体が輸入品であったため納期に時間がかかり、年度内の納品ができなかったため。 予定通り、抗体の購入費に充てる。
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