2014 Fiscal Year Annual Research Report
脂質異常症治療薬エゼチミブによるコレステロール吸収トランスポーター阻害機構の解明
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25860132
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
上敷領 淳 福山大学, 薬学部, 講師 (80600121)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | コレステロール / NPC1L1 / エゼチミブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、コレステロールトランスポーターNPC1L1に関して、そのコレステロール吸収機構およびコレステロール吸収阻害剤エゼチミブの作用機構の解明を目的としている。これまでに、1)N末端球状ドメインにコレステロールが結合すること、2)第2細胞外ループ領域にエゼチミブが結合すること、が明らかになっているが、詳しいことはわかっていない。 本研究の特色として、NPC1L1のドメイン間相互作用に着目して研究を行っていることが挙げられる。エゼチミブが効果を示さない変異体(V55L)を持つ人がいることが明らかになっているが、エゼチミブが結合するドメインとは異なるドメインに存在する変異がどのようにしてエゼチミブの効果を打ち消すのかに関しては不明である。 そこで、本研究では、V55Lを含め、エゼチミブ結合ドメインとは異なる部位に様々な変異体を作製し、その影響を確かめた。解析の結果、V55L変異体はエゼチミブによる阻害が起こらず、野生型と同様にコレステロール取り込みが起こることが明らかになった。 NPC1L1はコレステロール以外にもα-トコフェロール(ビタミンE)の吸収にもかかわるという報告があるが、詳しい点に関しては明らかになっていない。NPC1L1の基質認識に重要なアミノ酸残基を含め、基質認識機構を明らかにすることができれば、基質結合後の基質取り込みに重要なドメイン間相互作用部位の解明へとつながる手掛かりを得ることができるため、NPC1L1によるα-トコフェロール取り込みに関しても詳細な解析を行った。解析の結果、NPC1L1はコレステロールと同様にα-トコフェロールの取り込みも行うことができることが明らかになった。さらに、コレステロールと同様、α-トコフェロールもN末端球状ドメインによって認識されており、その吸収はエゼチミブによって阻害されることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)