2014 Fiscal Year Research-status Report
細胞性免疫機構の維持・破綻に関与する低分子量G蛋白質Rit1の機能解析
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25860142
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
江上 洋平 香川大学, 医学部, 助教 (80432780)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Rit1 GTPase / Fc gamma receptor / phagocytosis / live-cell imaging |
Outline of Annual Research Achievements |
Rit1 GTPaseはZymosanの貪食過程においてファゴサイティックカップに集積する。また、Rit1のGDP結合型を過剰発現するとZymosanの取り込みが抑制されることがわかっている。本年度は、この蛋白質のファゴサイトーシス過程における普遍的重要性を確認するために、IgGによりオプソニン化された異物を取り込むFcガンマーレセプター介在性ファゴサイトーシス経路でのRit1の関与の有無について検討を行った。GFP-Rit1をRAW264マクロファージに発現させ、オプソニン化赤血球の取り込みを共焦点顕微鏡でライブセル観察したところ、Zymosanの貪食時と同様にFcガンマーレセプター介在性ファゴサイトーシス過程でもRit1がファゴサイティックカップに集積することが明らかとなった。また、GDP結合型Rit1の過剰発現では、貪食の抑制が確認された。以上の結果は、Rit1 GTPaseがZymosanの貪食に特異的な制御因子ではなく、ファゴサイトーシスの普遍的な調節因子である可能性を示唆するものである。次に、Rit1の蛋白質レベルでの発現について調べるために、Rit1に対する抗体を用いてウエスタンブロッティングを行った。内在性Rit1蛋白質は、RAW264マクロファージ及び骨髄由来マクロファージで同程度の発現レベルを示すことが明らかとなった。この結果を踏まえ、現在、RAW264マクロファージにおいてRit1のノックアウトを行うために、CRISPR/Cas9ゲノム編集システムを立ち上げ、Rit1のノックアウトセルラインの樹立を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Rit1がFcガンマーレセプター介在性ファゴサイトーシス経路にも関与することを明らかにできた。また、RAW264マクロファージ及び骨髄由来マクロファージで内在性Rit1蛋白質の発現を確認でき、Rit1のノックアウトを行う上での基盤が確立できた為。
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Strategy for Future Research Activity |
内在性Rit1蛋白質の発現をマクロファージにおいて検出できたことを踏まえ、CRISPR/Cas9システムによるRit1 GTPaseのノックアウト細胞株の樹立を行っていく予定である。また、Rit1の下流因子を同定する過程において、新たに低分子量GTPaseのGAP(TBC蛋白質)が異物の貪食に関与する所見が得られた。そこで、この因子についても解析を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
抗体作成(受託依頼)をするために前倒し支払い請求を行ったが、抗体の納品が4月以降(次年度)になり次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の予定通り、助成金を使用していく予定である。
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