2015 Fiscal Year Annual Research Report
細胞性免疫機構の維持・破綻に関与する低分子量G蛋白質Rit1の機能解析
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25860142
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
江上 洋平 香川大学, 医学部, 助教 (80432780)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Rit1 / phagosome / ノックアウト / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
Rit1に対する特異的抗体で内在性Rit1蛋白質の発現をマクロファージで検出できたことを踏まえ、本年度はCRISPR/Cas9システムによるRit1 GTPaseのノックアウト(KO)細胞株の樹立を目指した。マウスRit1のORF領域のN末端側にsgRNAターゲット配列を2つデザインし、ピューロマイシン耐性マーカを持つプラスミドpSpCas9(BB)-2A-Puro (PX459 Addgeneより入手)にターゲット配列をそれぞれ挿入した。これらのプラスミドをRAW264マクロファージに遺伝子導入し、ピューロマイシンの存在下で培養後、限界希釈によりシングルセル由来のコロニーを約200クローン選択した。これらのクローンについてウエスタンブロッティングによるRit1 KO細胞株のスクリーニングを行ったところ、そのうち3クローンがRit1の蛋白発現を消失していることがわかった。次に、樹立したRit1 KO細胞株を用いて、Fcγレセプターを介した貪食ターゲットの取り込みを定量化したところ、いずれの細胞株においても貪食の抑制が認められた。さらに、これらのファゴゾーム形成の抑制がオフターゲット効果によるものか否かについて検討した。Rit1 KO細胞株に野生型のRit1を発現させ、ファゴゾームの形成能が上昇するかどうか調べたところ、野生型Rit1の発現により貪食ターゲットの取り込みが回復することが明らかとなった。以上の結果は、内在性Rit1蛋白質が、マクロファージにおける貪食制御のキーファクターであることを支持するものである。
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