2013 Fiscal Year Research-status Report
発生腎および再生腎に発現するK+チャネルの生理的意義について
Project/Area Number |
25860155
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
風間 逸郎 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60593978)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Kv1.3 / 発生腎 / リンパ球 |
Research Abstract |
本研究では、まず、胎生腎におけるKv1.3 mRNAの発現を、real-time PCR法を用いて調べたところ、胎生12日目以降、胎生期の早い時期から、マウス腎臓における発現がみられた。また、発生腎より単離した細胞に対し、パッチクランプ法を行った結果、このチャネルの存在を示唆する電位依存性の電流応答が得られた。現在、本チャネルの発現に関し、蛋白レベルでの検証を試みていると同時に、パッチクランプ法の結果における再現性を確認している最中である。 Kv1.3チャネルは、哺乳類では、胸腺リンパ球や骨髄巨核球の細胞膜上にも多く発現することが知られている。そこで、発生腎細胞におけるKv1.3チャネルの電気生理学的性質について調べるために、まず、胸腺リンパ球を用いて、以下のような電気生理学的実験を行った。 本実験では、電気生理学的手法(パッチクランプ法、電気的膜容量測定法)を用いて、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や一部の降圧薬が免疫抑制作用を発揮する際に、リンパ球のKv1.3チャネル電流の有意な抑制を介することを明らかにした。さらに、中でも脂溶性の高い薬物は、リンパ球の電気的膜容量に不可逆的な変化を引き起こすことにより、持続的なチャネル阻害効果を示すことも明らかにした。 このようなKv1.3チャネルの性質は、胸腺リンパ球に限らず、その他の細胞においても普遍的なものであると考えられるため、今後、発生腎細胞におけるKv1.3チャネルについての電気生理学的性質を明らかにしてゆくうえで、基礎になる、重要なデータであると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を遂行することにより、発生腎細胞に発現するKv1.3チャネルについて、RNAレベルでは、その存在を確かめることができた。また、胸腺リンパ球を用いて、Kv1.3チャネルの電気生理学的性質についても詳しく調べることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
発生腎細胞におけるKv1.3チャネルの発現を同定できたならば、マウス胎児より摘出した胎生腎に対し、Kv1.3チャネルの阻害薬を加えたうえで組織培養を行い、とくに発生腎の分化・増殖における本チャネルの生理的意義を明らかにしてゆく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。 当初の計画通り、消耗品費を中心に、次年度に計画している研究の遂行のために使用する予定である。
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