2014 Fiscal Year Research-status Report
発生腎および再生腎に発現するK+チャネルの生理的意義について
Project/Area Number |
25860155
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
風間 逸郎 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60593978)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Kv1.3 / 発生腎 / 腎不全 / リンパ球 / 細胞増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、まず、胎生腎におけるKv1.3 mRNAの発現を、real-time PCR法を用いて調べたところ、胎生12日目以降、胎生期の早い時期から、マウス腎臓における発現がみられた。また、発生腎より単離した細胞に対し、パッチクランプ法を行った結果、このチャネルの存在を示唆する電位依存性の電流応答が得られた。本チャネルの発現に関し、抗体染色法を用いて、蛋白レベルでの検証を試みた結果、胎生14日目の腎臓では、尿管芽から後腎間葉細胞にかけて、広い範囲で本チャネル蛋白の発現が見られた。 そこで、本チャネルの阻害薬であるMargatoxinやPsora-4の存在下で胎生腎組織を培養した結果、細胞分化マーカー(BMP7, Wt1, Wnt4)の発現減少、および未分化マーカー(Pax2など)の発現増加が見られた。今後、Kv1.3チャネルと細胞増殖・分化との関わりについて、抗体染色法やreal-time PCR法などを用いて、さらに詳しく調べてゆく。 一方、疾患モデルラットを用いた実験により、尿細管の再生過程を伴う慢性腎不全の病態下では、間質の線維化とともに、腎臓のリンパ球におけるKv1.3チャネルの発現が増加することが明らかになった。さらに、本チャネルの阻害薬であるMargatoxinを治療的に投与したところ、腎線維化の改善とともに、リンパ球の増殖が抑えられたことから、本チャネルが、リンパ球の細胞増殖を促している可能性が高いと考えられた。 今後は、その細胞増殖に関わるシグナル伝達経路についても、分子生物学的手法などを用いて、調べてゆく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を遂行することにより、発生腎細胞に発現するKv1.3チャネルについて、蛋白レベルでの同定を行い、さらにそれらが、細胞増殖や分化に関わっている可能性が高いことを明らかにできた。また、腎不全病態下のリンパ球に発現するKv1.3については、その役割を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、Kv1.3チャネルと細胞増殖・分化との関わりについて、抗体染色法やreal-time PCR法などを用いて、さらに詳しく調べてゆく。また、そこに関わるシグナル伝達経路についても、分子生物学的手法などを用いて、調べてゆく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、次年度に計画している研究の遂行のために使用する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画通り、消耗品費を中心に、次年度に計画している、”Kv1.3チャネルと細胞増殖・分化との関わりと、そのメカニズムについて明らかにする研究”のために使用する予定である。
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