2013 Fiscal Year Research-status Report
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25860158
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
浅野 純平 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (70463809)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 上皮機能 / オートファジー |
Research Abstract |
これまでの研究で我々は腸管上皮特異的にオートファジー関連分子のAtg5を欠損するATG5f/f Villin-Creマウスにおいて放射線照射により生じる腸管上皮破壊からの再生に障害があることを見出していた。この知見はオートファジーが腸管上皮細胞の再生に重要な役割を担っていることを示唆するものであり平成25年度はそのメカニズムを検討した。 ATG5f/f Villin-Creマウスの腸陰窩(クリプト)を構成する分裂性の未分化細胞(progenitor細胞)では野生型マウスに比べミトコンドリアのエネルギー産生能が低下していること、さらに同細胞には多くの活性酸素種(ROS)が蓄積していることがフローサイトメーターを用いた解析から明らかになった。ミトコンドリアはエネルギー産生に伴いROSを産生するためミトコンドリアは少しずつ損傷を受ける。生体内ではこうしたミトコンドリアがオートファジー機構により絶えず排除されそのエネルギー産生能が維持されている。ATG5f/f Villin-Creマウスにおける腸上皮細胞の再生障害についてもミトコンドリアのエネルギー産生能の低下が主因と考えられ、現在電子顕微鏡を用いたミトコンドリアの形態解析などのさらなる研究を進めている。興味深いことに抗酸化剤のN-acetyl-L-cystein を投与したATG5f/f Villin-Creマウスではprogenitor細胞におけるミトコンドリアのエネルギー産生能の増強と腸管上皮細胞の再生能の回復が確認された。従って腸管上皮細胞ではオートファジーの欠損でも酸化ストレスを抑制することでprogenitor細胞におけるミトコンドリアの機能が回復し恒常性が維持されることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究計画に掲げた項目は概ね実施されていることから。
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Strategy for Future Research Activity |
近年の研究でクリプトを構成する細胞の一つであるPaneth細胞が腸幹細胞の増殖に関わることが明らかになっている。そこでPaneth細胞から産生されるWnt3a、EGF、Dll4等の腸幹細胞増殖因子の発現がオートファジーの欠損で変化するか検討する。 さらにオートファジーの欠損で腸上皮細胞の再性能が低下することからオートファジーが炎症性腸疾患の原因の一つとなっていることが考えられマウス腸炎モデルで関連性を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
事務手続きの関係上次年度の使用額として計上することになったため。 事務手続き上のことにより次年度の消耗品として計上する。
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Research Products
(1 results)