2014 Fiscal Year Research-status Report
電位依存性ホスファターゼが膜電位変化に応じて基質を変える分子機構の解明
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25860163
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
坂田 宗平 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 招へい教員 (40528006)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | イノシトールリン脂質 / 膜電位 / 脱リン酸化酵素 / 非天然アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
電位依存性ホスファターゼVSPは電位センサーと酵素ドメインを持ち、酵素活性が膜電位によって制御される。VSPはイノシトールリン脂質、特にPI(3,4,5)P3, PI(3,4)P2, PI(4,5)P2を脱リン酸化する。最近、VSPが膜電位依存的に基質選択性を変えることが報告されたが、本課題ではその分子メカニズムを解明することを目的とした。VSPはPI(3,4,5)P3からPI(3,4)P2を産生し、さらにPI(3,4)P2からPI(4)Pを産生する。そのため昨年度はまず細胞膜上のPI(3,4)P2の増減を高い時間分解能で検出することを目的として、FRETの方法を用いてPI(3,4)P2の動態を計測する方法を構築した。さらにその分子メカニズムを明らかにするため、今年度は蛍光を持つ人工アミノ酸を酵素ドメインに導入し、電位センサーが動作した際の構造変化をリアルタイムでモニターすることを試みた。ゼノパスの卵母細胞にVSPと人工アミノ酸(Anap)、およびAnapを特異的に認識するtRNAとアミノアシルtRNA合成酵素をコードしたプラスミドを導入することで、部位特異的に人工アミノ酸を導入(Anap)することに成功した。その結果、酵素ドメインの多くの部位で膜電位依存的な蛍光変化を検出した。VSPが膜電位依存的に基質特異性を変えるメカニズムの一つとして、膜電位依存的に酵素ドメインが複数の構造をとっている可能性がある。今後は蛍光変化の膜電位依存性を詳細に解析することで、その可能性を探っていく。またVSPの基質は細胞膜上に存在しているため、酵素ドメインが膜電位依存的に細胞膜との距離を変えることが基質選択性に関わっている可能性も考えられる。そのため細胞膜と酵素ドメインの距離の膜電位依存性も調べていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は人工アミノ酸を部位特異的に組み込む方法を確立することに成功したが、初めての手法であったため条件検討に多大な時間を費やし、データの解析それからFRETを用いた酵素ドメインと細胞膜との距離の測定を、当初の計画どおり本年度終了時までに終えることができなかった。そのため「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」で述べたとおり、本年度は蛍光を持つ人工アミノ酸をVSPの酵素ドメインに部位特異的に組み込む技術を確立した。今後は蛍光変化の膜電位依存性を解析することで、膜電位依存的な基質選択性に繋がる構造変化を明らかにしていく。またFRETの方法を用い、細胞膜と酵素ドメインが膜電位依存的にその距離を変えることで、基質選択性を変えるかどうかも合わせて調べていく。
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Causes of Carryover |
当該年度は蛍光を持った人工アミノ酸を部位特異的に挿入する方法を試み成功したが、新規の手法であったため、条件検討等に予想以上に時間を費やした。そのため本研究の目的である基質選択性を決める分子メカニズムを解明するまでには至らなかった。そのため部位特異的に挿入されているかどうか調べるために、必要最低限の物品の購入しか行っていない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き人工アミノ酸を挿入する実験系を使用するので、人工アミノ酸を購入する必要がある。また蛍光計測時にのみ励起光を当てるためのシャッター、励起および蛍光フィルタ、RNA合成キット等の試薬の購入、また研究成果発表するための学会参加費、論文投稿料などに使用することを予定している。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] A Kir3.4 mutation causes Andersen-Tawil syndrome by an inhibitory effect on Kir2.1.2014
Author(s)
Kokunai Y, Nakata T, Furuta M, Sakata S, Kimura H, Aiba T, Yoshinaga M, Osaki Y, Nakamori M, Itoh H, Sato T, Kubota T, Kadota K, Shindo K, Mochizuki H, Shimizu W, Horie M, Okamura Y, Ohno K, Takahashi MP.
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Journal Title
Neurology
Volume: 82
Pages: 1058-1064
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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