2013 Fiscal Year Research-status Report
がん抑制遺伝子pRbによる概日リズムの制御機構の解析
Project/Area Number |
25860178
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三木 貴雄 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30452345)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | がん / 概日リズム |
Research Abstract |
概日リズムは、日々の睡眠サイクルを含む、生体の一日約24時間のリズムを制御している生物の基本的な機構である。長期的なリズムの欠失は、がん、糖尿病等の疾患と関連することが疫学研究において報告されている。一方、がん患者では、睡眠リズム障害が見られることや、糖尿病患者では、インスリン代謝リズム障害等が見られ、がんの罹患率も高いことが報告されている。上記の知見は、がんと概日リズムには、緊密な関連性があることを示唆している。しかし、その分子機構は不明な点が多い。そのため、我々は、がんと概日リズムの関連を、がん抑制遺伝子による概日リズムの分子レベルでの制御という視点から解明することを目的とした。その結果、我々は概日リズムの形成に必須の中枢時計とよばれる脳のSprachiasmatic Nucleus (SCN) において、がん抑制遺伝子Promyelocytic Leukemia (PML) がPER2の核局在を制御することにより概日リズムの制御を担うこと、また、p53はPER2を介して概日リズムを制御することも明らかとしている。そのため、本研究では、がん抑制遺伝子pRbの概日リズムに対する影響を分子的に解明することを目的としている。 現在までの研究で、pRbを欠損した細胞を用いてforskolinにより細胞の概日リズムを同期し、4時間毎に48時間サンプリングを行った結果、野生型の細胞に比較して、有意に概日リズムの短縮が見られた。この現象をin vivoで検討するために、pRbの脳特異的欠損マウスを作製し、解析を行いつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、がん抑制遺伝子pRbの概日リズムにおける役割を解明することを目的としている。そのため、細胞レベルでのpRbの概日リズムにおける役割を明らかとできた点が非常に重要である。また、脳特異的pRb欠損マウスも作製には時間が掛かるが、すでに掛け合わせに着手しており、近日中に目的の遺伝子を保持するマウスが得られる予定であるため、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
A. pRb部位特異的欠損マウスを用いた概日行動リズムの解析 pRbの欠損マウスは、胎生致死であり、様々な組織特異的欠損マウスも発がんにより、生後早期に死亡する。そのため、我々は、最近同定されたSCNに特異的な発現プロモーター支配下のCreマウス(Vgat-Cre)とpRbflox/floxマウスを用いて、概日行動リズムの解析と、pRb欠損による概日リズム遺伝子に対する影響の解析を行う。 B. DNA損傷応答に対するpRb経路の概日リズム関連遺伝子に対する影響を解析 pRbは放射線照射に対するDNA損傷応答に対して、がん抑制に働く(Harrington et al, PNAS 1998)。放射線照射下において、pRb経路により概日リズム関連遺伝子の制御が行われるかどうかを検討する。
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