2014 Fiscal Year Annual Research Report
病的な血管新生を選択的に制御する低分子量G蛋白質Arf6シグナル伝達系の機能解析
Project/Area Number |
25860206
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
本宮 綱記 筑波大学, 医学医療系, 助教 (30628920)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 腫瘍血管新生 / Arf6 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、血管内皮細胞特異的Arf6 コンディショナルノックアウトマウス(EC-Arf6 cKOマウス)を用いて、病的な血管形成におけるArf6の機能解析を行った。 EC-Arf6 cKOマウスは、胎児期の血管新生や新生仔網膜血管新生などの生理的な血管新生はほぼ正常であったにも関わらず、病的な血管新生である腫瘍血管新生が著しく抑制されていた。このことから、Arf6は腫瘍血管新生のような病的な血管形成において特異的に機能する可能性が示唆された。生理的血管新生と腫瘍血管新生におけるArf6の機能的選択性が発生するメカニズムとして、Arf6は病的な血管新生においてのみ機能する特殊な血管誘導因子の下流で働く可能性が考えられた。そのため、大動脈リングアッセイおよびin vitro チューブ形成アッセイにより、様々な血管誘導因子を用いてArf6欠損の影響を検討したところ、Arf6は特にHGF依存的な血管新生に寄与していることが明らかとなった。さらに、Arf6欠損細胞を用いてHGF依存的な血管新生におけるArf6の役割を検討したところ、Arf6はHGFによって誘導されるbeta1インテグリンのリサイクリングを制御しており、血管内皮細胞の遊走に寄与していた。また、HGF依存的なbeta1インテグリンのリサイクリングにおいて、Arf6上流因子としてArf6 GEFであるGrp1が機能しており、Grp1の阻害剤投与によって、個体における腫瘍血管形成が阻害され、腫瘍の増大が抑制されることを明らかにした。 様々なヒト腫瘍においても、HGFは重要な血管誘導因子として機能していることが知られている。そのため、本研究で同定したArf6シグナル伝達系は血管新生阻害剤の有用な標的となる可能性が考えられる。
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