2014 Fiscal Year Research-status Report
SNAP-23のリン酸化によるファゴソーム成熟の制御機構解明
Project/Area Number |
25860218
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
櫻井 千恵 鳥取大学, 医学部, 助教 (10589724)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | SNAREタンパク質 / ファゴサイトーシス / ファゴソーム / マクロファージ / リン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
病原微生物などが体内に侵入した場合、マクロファージなどの食細胞がこれに対処することが知られている。この生体防御反応はファゴサイトーシスと呼ばれ、ファゴソームの形成と成熟から成る。これまで、SNAREタンパク質であるSNAP-23がこの反応に機能することを報告したが、その制御機構は依然として未解明である。そこで本研究では、ファゴサイトーシスにおけるSNAP-23の制御機構解明を目的とした。 本研究ではこれまで、①予想されるリン酸化部位を他のアミノ酸に置換することで、リン酸化状態を変化させたSNAP-23を安定的に発現するマクロファージ細胞株を作製した。②この作製した細胞株を用いてファゴソーム形成過程を解析したところ、SNAP-23のリン酸化によりファゴソーム形成の効率が低下していた。また、③ファゴソーム成熟の過程で起こるファゴソームとライソゾームとの融合も阻害されていた。④これらの原因を解明するため、他のSNAREタンパク質との相互作用について免疫沈降実験により確認したところ、SNAP-23はリン酸化によって他のSNAREタンパク質との相互作用が低下していることがわかった。⑤この相互作用低下はSNAP-23自体の構造変化が原因であると考えられたため、SNAP-23のFRETプローブを用いて構造の変化について解析を行ったところ、SNAP-23はリン酸化によって立体構造を変化させていることが明らかとなった。 以上のことから、SNAP-23はリン酸化されることで立体構造が変化し、他のSNAREとの複合体形成ができず、結果としてファゴサイトーシスにおける異物の取り込みとファゴソーム成熟の両過程が抑制されることが示唆された。 現在はリン酸化酵素同定のための解析を行っている最中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究内容がまとまりつつあり、論文投稿ができる形になってきている。 昨年度目標として掲げた研究が現在までに予定通り進んでおり、全体としておおむね順調だと言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
SNAP-23のリン酸化がファゴサイトーシスに及ぼす影響の全容を解明するため、SNAP-23のリン酸化酵素の同定を行う。
|
Causes of Carryover |
全体としての研究計画に変更はないが、年度ごとに行う計画に入れ替えが生じたため、当初予定していた使用額と異なったことで、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
DNA・RNA試薬、細胞培養試薬、プラスチック製品等の消耗品購入に使用する。また、学会発表を行う予定であり、その旅費としても使用する。さらに、解析に用いる機器利用料および論文投稿料として使用する予定である。
|
Research Products
(3 results)