2014 Fiscal Year Research-status Report
エネルギー代謝特性に基づく消化器がん病態解明と制御への応用
Project/Area Number |
25860233
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
堂本 貴寛 金沢大学, がん進展制御研究所, 助教 (80635540)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | がん代謝 / 分子標的治療 / GSK3β / リン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに我々は消化器がん細胞株(SW480, HCT116, PANC-1)を用いた解析によって, がん細胞代謝の特徴とされる酸素供給量に非依存的な乳酸産生(Warburg効果)がGSK3βを阻害することによって抑制され, ミトコンドリア内での代謝産物量(アセチル-CoA, クエン酸, フマル酸, マレイン酸)が増加することを見出した. 本年度はマウスのゼノグラフトモデルを作成し, in vivoでの代謝産物に対するGSK3β阻害の影響について解析した. 大腸がん由来細胞株(SW480, HCT116)を移植したマウスではGSK3β阻害剤非投与群と比較して, 投与した群では腫瘍内での各種代謝産物量が変化することを見出した. 培養細胞株を用いたin vitroでの解析と一致して, 腫瘍部のがん細胞ではGSK3βを阻害してもピルビン酸には影響をせず, ピルビン酸を原料とする乳酸が減少する一方で, アセチル-CoAが増加することを確認した. また, 同一個体の肝臓ではGSK3βを阻害してもピルビン酸, 乳酸, アセチル-CoAといった代謝産物の量的変化は認められなかった. さらに, 初年度から引き続き作成していたPDH-E1αに対するリン酸化ペプチド特異抗体が完成したため, 各種消化器がん細胞株を用いてウエスタンブロット法により検証し, GSK3βによるPDH-E1αのリン酸化部位を特定した. これらの結果より, ピルビン酸からアセチル-CoAを合成するピルビン酸脱水素酵素(PDH)の機能をGSK3βがリン酸化によって制御することでがん細胞に特徴的なWarburg効果を惹起していると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に前倒しして開始した大腸がん細胞移植マウスでの実験が順調に進み, 予定していた解析については年度内にほぼ完了した. また, 次年度に予定していたGSK3βとミトコンドリア機能についての解析にも着手できているため, おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析結果から, GSK3βががん細胞エネルギー代謝特性の中心的な役割を担っていると考えられているピルビン酸脱水素酵素(PDH)と相互作用することでがん細胞の代謝を制御していることが示唆された. また, 活性型のGSK3βはミトコンドリアにも局在することが知られているため, 次年度はPDHとGSK3βの相互作用によるミトコンドリア機能への影響についても解析を進める.
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[Journal Article] Glycogen synthase kinase 3β sustains invasion of glioblastoma via the focal adhesion kinase, Rac1, and c-Jun N-terminal kinase-mediated pathway.2015
Author(s)
Yuri Chikano, Takahiro Domoto, Takuya Furuta, Hemragul Sabit, Ayako Kitano-Tamura, Ilya V. Pyko, Takahisa Takino,Yoshimichi Sai, Yutaka Hayashi, Hiroshi Sato, Ken-ichi Miyamoto, Mitsutoshi Nakada, Toshinari Minamoto
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Journal Title
Molecular Cancer Therapeutics
Volume: 14
Pages: 564-574
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Glycogen synthase kinase 3β sustains invasion of glioblastoma via the focal adhesion kinase, Rac1 and JNK-mediated pathway2015
Author(s)
Takahiro Domoto, Yuri Chikano, Takuya Furuta, Hemragul Sabit, Ilya V. Pyko, Takahisa Takino, Yutaka Hayashi, Hiroshi Sato, Mitsutoshi Nakada, Toshinari Minamoto
Organizer
日本癌学会主催 金沢大学がん進展制御研究所共催 日本癌学会シンポジウム共同利用・共同研究拠点シンポジウム
Place of Presentation
石川県立音楽堂(石川県・金沢市)
Year and Date
2015-01-22 – 2015-01-23
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[Presentation] 大腸がんにおけるGSK3β制御性miRNAの発現と病態との関連2015
Author(s)
佐々木 規雄, 堂本 貴寛, 米村 圭祐, 森脇 美優, Ilia V. Pyko, 中村 慶史, 太田 哲夫, 河原 栄, 源 利成
Organizer
日本癌学会主催 金沢大学がん進展制御研究所共催 日本癌学会シンポジウム共同利用・共同研究拠点シンポジウム
Place of Presentation
石川県立音楽堂(石川県・金沢市)
Year and Date
2015-01-22 – 2015-01-23
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