2014 Fiscal Year Annual Research Report
がん抑制遺伝子NDRG2の発現調節機構および破綻に伴う疾患発症機構の解析
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25860242
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
市川 朝永 宮崎大学, 医学部, 助教 (80586230)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 癌 / シグナル伝達 / ストレス / 成人病 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はNDRG2がストレス応答因子として炎症反応のようなストレスによって自身の発現を亢進させ、negative-feedback的に過度なストレス反応を制御する一方で、長期的なストレス暴露により発現が低下し、抑制機構が破綻し病的状態に陥ることを示唆した。NDRG2の分子機構としてフォスファターゼであるPP2AをPTENにリクルートすることによりPTEN脱リン酸化を促進し、AKT情報伝達系を制御することを明らかとした。さらにNDRG2欠損マウスでは各臓器でPTENおよびAKTリン酸化が亢進し、長期間飼育することにより、多臓器のがん、心肥大、脂肪肝を惹起することを示した。NDRG2発現低下がどのように各種疾患に関与しているかNDRG2欠損マウスを用いて検討した。
NDRG2欠損マウスに発がん物質4-ニトロキノリンN-オキシド(4-Nitroquinoline N-oxido:4-NQO)を長期間投与すると野生型に比較して口腔内により多くの悪性の腫瘍が誘発された。NDRG2欠損マウスの舌ではPTENおよびAKTリン酸化が増加しており、NDRG2欠損よるAKT情報伝達系の亢進が腫瘍形成に関与していることを示唆した。さらに、NDRG2欠損マウスでは心臓の重量が増大し心筋肥大を起こし、肝臓でも脂肪蓄積がおこり、耐糖能異常を惹起していた。また、AKT情報伝達系で制御されている心臓および肝臓の機能を司る因子が変化していることから、NDRG2-PTEN/AKT系が各種疾患発症に重要な役割を果たしていることを示唆した。
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