2014 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌におけるGlypican-3の発現調節機構に関する臨床病理学的研究
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25860270
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
頼田 顕辞 宮崎大学, 医学部, 助教 (80599267)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | グリピカン 3 / 肝細胞癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度に行った研究の成果は主に3つである。 ①肝細胞癌におけるグリピカン3 (GPC3)の腫瘍内発現につき、原発巣と転移巣の間でGPC3の発現に差異があるかを剖検症例 (n=44)を用いて免疫組織学的に検討した。GPC3の発現に関する半定量的な評価として、細胞膜染色性を加味したGPC3スコア (Liver Int. 2011;31:120-31.)を用いた。結果、52%(n=23)の症例において原発巣と転移巣のGPC3スコアに変化が見られたが、その変化に一定の傾向は認めなかった。 ②術前の血清GPC3値が臨床病理学的に予後不良因子となりえること、またその際に用いた血清GPC3を検出する新たなELIZA系が、過去に報告されているELIZA系よりも優れている可能性がある (Int J Cancer, in press)。 ③肝細胞癌切除検体 (n=200)を用いてGPC3とhepatocyte growth factor activator inhibitor type 1 との関連性を臨床病理学的に検討したが、傾向を認めなかった。
研究期間全体を通じて、GPC3が細胞膜に陽性となる肝細胞癌が特に予後不良となったことに着目し、そのような症例ではM2形質のマクロファージがより多く腫瘍内に浸潤する傾向を示した。その際の検討でmonocarboxylate transporter 4 が肝細胞癌の新たな予後不良因子であることを見出した。一方、本研究の臨床的な意義としては、GPC3の治療抗体として期待されるGC33抗体を用いた検討であることから、肝細胞癌内のGPC3局在の不均一性に関する検討結果は、転移巣に対する治療効果の予測に多少なりとも寄与する結果と思われる。また本研究で用いたGPC3に対するELISA系は、術前の血清GPC3の評価に有力なツールとなる可能性がある。
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Research Products
(4 results)