2013 Fiscal Year Research-status Report
がん関連線維芽細胞におけるメタロプロテアーゼの機能解析
Project/Area Number |
25860276
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
下田 将之 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70383734)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | がん / 線維芽細胞 / メタロプロテアーゼ |
Research Abstract |
がん組織は、がん細胞とそれを取り巻く間質成分から構成される。がん間質中の線維芽細胞はがん関連線維芽細胞(cancer-associated fibroblast: CAF)と呼ばれ、がん細胞とCAFの相互作用ががん幹細胞の維持、血管新生、転移などに大きく寄与することが示されている。申請者は、これまでにメタロプロテアーゼ活性ががん間質において線維芽細胞形質維持に関与することを明らかにしてきた。当該年度の研究では、ヒト癌組織より採取した癌間質あるいはCAFにおいて発現変動するメタロプロテアーゼ分子およびその阻害分子の同定を解析を行った。まず、ヒト浸潤性乳癌あるいは非癌乳腺間質からmicrodissection法により採取した癌および非癌間質組織におけるメタロプロテアーゼ関連分子の発現をmicroarray databaseを用いて解析したところ、乳癌間質において種々のメタロプロテアーゼ分子の発現が有意に上昇しているとともに、メタロプロテアーゼ阻害分子であるTIMP3の発現が有意に低下していることを見出した。また、ヒト肺癌組織より採取したCAFでは、同一患者の非腫瘍部より採取したコントロール線維芽細胞と比べて、種々のTIMP分子の発現が有意に低下していることが明らかとなった。以上の結果から癌間質におけるメタロプロテアーゼ発現・活性のバランスが腫瘍間質の維持に関与している可能性が示唆された。現在これらのデータをもとに、癌間質線維芽細胞特異的に発現が上昇するメタロプロテアーゼ分子を特定しつつあり、今後siRNAなどを用いて癌細胞との相互作用をさらに検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では癌間質、特に癌間質線維芽細胞(CAF)で発現するメタロプロテアーゼ分子の機能解析に重点を置いており、これまでにmicroarray databaseおよびヒト癌組織より単離・培養したCAFを用いて、癌間質線維芽細胞で特異的に発現上昇するメタロプロテアーゼ分子を特定しつつある。ヒトCAFの採取については当大学外科学教室の協力のもと順調に進んでおり、解析に十分な量の検体数を確保することが可能と考えられる。また、次年度以降の実験計画に記載したCAF由来エクソソームについても、一部のCAFを用いては質量分析法にて解析を開始しており、当初予定していた実験計画の遂行は順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト癌組織より採取した癌間質あるいはCAFにおいて発現上昇するメタロプロテアーゼ分子に焦点を当て解析をすすめる。具体的には、shRNAやsiRNAを用いて同定したADAM/MMPをCAFで発現抑制し、線維芽細胞形質の変化や癌細胞への作用を検討する。通常培養下で細胞形質に変化のない場合には、種々のサイトカイン存在下での解析も行う。また、ヒトCAF由来エクソソームについても既に採取を開始しているが、エクソソーム中メタロプロテアーゼの生物学的機能についてさらに解析を行う。
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Research Products
(2 results)