2013 Fiscal Year Research-status Report
脂質代謝とオートファジーに着目した乳腺アポクリン癌の代謝機構の解明
Project/Area Number |
25860282
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
渕之上 史 日本大学, 医学部, 助手 (10409021)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 乳癌 / アポクリン癌 / オートファジー / 脂質代謝 |
Research Abstract |
【本研究の目的】乳癌の代謝異常を解明することにより,従来鑑別困難であった病変の病理診断法の確立, および,個別化治療のための新たな標的分子を探索することを目的とする. 【本年度の検討内容および研究成果】 1. 乳腺アポクリン癌、乳腺非アポクリン癌のティシューマイクロアレイ(TMA)ブロックを作成し、アポクリン化生細胞、正常乳腺細胞のホルマリン固定パラフィン包埋ブロックもちい、組織切片を作成した。得られた組織切片をもちいてホルモンレセプター(estrogen receptor, progesterone receptor, androgen receptor)、HER2蛋白質の発現状況を確認した。 2. 1で作成した組織切片をもちい、脂質代謝 (PGC1α)とオートファジー関連物質(p62)の免疫組織化学染色を行った。 3. PGC1αの陽性率は、アポクリン癌(21%)、非アポクリン癌(3%) 、アポクリン化生細胞(0%) 、正常乳腺細胞(0%)であり、アポクリン癌で有意に高い発現を認めた(P>0.01)。p62はアポクリン癌、非アポクリン癌 、アポクリン化生細胞に様々な陽性像を示し、現在結果検討中である。 4. 1で作成した組織切片をもちい、レーザーマイクロダイセクション (Laser assisted microdissection, LAMD)法で癌成分あるいは上皮成分のみを切削回収し,サンプルからtotal RNA抽出後,cDNAの合成を行った。TaqManプローブ法による内因性コントロール遺伝子(ACTB)のリアルタイムPCR法を施行し、ほぼすべての症例でACTB遺伝子が検出できた。PGC1α、p62に関して、TaqManプローブによるリアルタイムPCR法で遺伝子発現の検索を施行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
乳腺アポクリン癌、乳腺非アポクリン癌のTMAブロック、アポクリン化生細胞、正常乳腺細胞のホルマリン固定パラフィン包埋ブロックもちいた免疫組織化学染色は予定通り終了し、 アポクリン癌、非アポクリン癌 、アポクリン化生細胞 、正常乳腺細胞におけるPGC1α蛋白発現の解析は終了しているが、TMAブロック作成に想定以上の時間を要したため、p62蛋白発現解析にやや遅れが生じている。 遺伝子検索に関しては、実験期間中にLAMD機械の不具合が生じたことより、mRNA抽出、cDNA合成完了までに想定以上の時間を要した。また、内因性コントロール遺伝子(ACTB)発現解析は予定通り終了しているが、PGC1α, p62の遺伝子発現検索に関しては、適切なTaqManプローブの選択とPCR条件検討に時間を要したため、実験にやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
リアルタイムPCR法をもちい、アポクリン癌、非アポクリン癌 、アポクリン化生細胞、正常乳腺細胞におけるPGC1αとp62の遺伝子発現状況を検出する。 アポクリン癌、アポクリン化生細胞(良性)、非アポクリン癌におけるPGC1αとp62蛋白発現、遺伝子発現の差を用いて、病理鑑別診断に応用する。 ヒト乳癌培養細胞(アポクリン癌)でのPGC1α,p62阻害による,ミトコンドリア数と脂肪滴量の変化,細胞増殖抑制効果を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度では、乳腺アポクリン癌、乳腺非アポクリン癌のTMAブロック作成に想定以上の時間がかかったこと、またLAMD機械の不具合が生じたことより、遺伝子発現解析実験に遅れが生じているために、次年度使用額が生じた。 生じた次年度使用額は、遅れが生じている遺伝子発現解析実験のために使用する計画である。
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Research Products
(1 results)