2014 Fiscal Year Annual Research Report
5-HTと5-HT受容体を介する尿細管間質線維化の機序の解明と新規治療標的の同定
Project/Area Number |
25860288
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浜崎 敬文 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20617774)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 腎線維化 / 5-HT受容体拮抗薬 / PAI-1 / 近位尿細管上皮細胞 / L-FABP / 傍尿細管血流 |
Outline of Annual Research Achievements |
野生型マウス(C57BL/6)をアデニン含有飼料で6週間飼育し尿細管間質線維化モデルマウスを作製した。この尿細管間質線維化モデルマウスに5-HT受容体拮抗薬であるsarpogrelate hydrochrolide(以下SG)を4週間投与したところ、血中BUNやクレアチニンの低下や尿細管間質線維化の改善、αSMAやCollagen type Ⅳの発現抑制を認めた。これらの効果にはSGの至適用量があることを見出した。また、SG投与で腎組織中のPAI-1発現の低下を認め、SGによる腎線維化改善メカニズムの1つとして、TGF-β作用増強をもたらすPAI-1の抑制があると考えられた。また、SG投与で腎組織中のFibrin/Fibrinogen陽性血栓の減少や、腎尿細管周囲の血流改善(CCDカメラを用いたシステムで評価した)を認め、SGの腎保護効果のメカニズムとして抗血栓や血流改善効果もあると考えられた。さらに、腎組織中へのF4/80陽性マクロファージ浸潤の軽減を認め、SGによる抗炎症効果の可能性が示唆された。SG投与によるTGF-βやMCP-1の低下効果は有意ではなかった。 ヒトL-FABPトランスジェニックマウスを用いて上記と同様の実験を行い、尿細管障害のバイオマーカーである尿中L-FABPを定量したところ、SGにより尿L-FABPの低減が認められ、SGによる腎尿細管保護作用が示唆された。 続いて、マウス由来近位尿細管上皮細胞であるmProx細胞を用いた検討を行った。mProx細胞をTGF-β単独またはTGF-βと5-HTで刺激するとPAI-1の発現増加を認め、このPAI-1上昇はSG投与で改善した。mProx細胞やマウス腎臓ではSGの主要な受容体である5-HT 2A受容体が発現していることを確認した。SGが尿細管上皮細胞に直接作用して腎保護効果をもたらす可能性が考えられた。
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