2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25860295
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
村田 暁彦 鳥取大学, 医学部, 助教 (90624221)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞接着 / Notch / Delta-like / Jagged / 炎症 |
Research Abstract |
私はNotch/Delta-like1 (Dll1)に細胞接着分子としての新たな機能を見出してきた。本年度は、哺乳類に存在する5つのNotchリガンド[Delta-like (Dll1, Dll3, Dll4), Jagged (Jag1, Jag2)]とNotch受容体(Notch1-Notch4)について、細胞接着への関与を検討した。各Notchリガンドを過剰発現させたOP9間質細胞への、マスト細胞の接着を検討したところDll3以外の全てのリガンドで細胞接着が非常に促進された。この接着促進は、Notchシグナルに依存せず、マスト細胞が発現するNotch1及びNotch2と、間質細胞上のNotchリガンドの結合そのものに依存した。よってDll3以外の全てのNotchリガンドにおいて、Notch1とNotch2を介した接着分子としての性質が保存されていることが明らかとなり、現在論文を投稿中である。また、マスト細胞の接着に必須と考えられているc-Kitが、Notchリガンド存在下では接着に不要になる現象も見出しており、論文化に向けて機構を解析中である。更に、T細胞系譜では、活性化に伴いNotch1とNotch2の発現が上昇すること、更に活性化する薬剤の違いにより接着促進されるNotchリガンドの種類が異なることを見出し、その機構を解析中である。 炎症組織への免疫細胞の集積におけるNotchリガンドの関与を知るため、ハプテンの繰り返し塗布によるマウス耳介の接触性皮膚炎を解析した。炎症局所でDll1, Dll4, Jag1, Jag2のmRNA発現が炎症5日目より亢進し、その後も持続すること、更に免疫染色によりDll1とDll4が真皮に存在する細胞に発現していることを確認している。現在、Notchリガンドを発現する細胞系譜と、そこに接着する免疫細胞系譜の種類を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標であった、細胞接着に関与するNotch受容体とリガンドの種類を明らかにでき、論文投稿にまでたどり着くことができたため。また、次年度に計画していた研究の材料の準備や予備実験、実験系の確立がおおむね達成できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
接着実験で見いだされたNotchリガンド存在下でのc-Kit非依存的なマスト細胞の接着機構、及び、T細胞を中心としたマスト細胞以外の免疫細胞のNotchによる接着機構について解析を進める。加えて、Notchはリガンド結合後速やかに切断されシグナルを伝えることが知られており、Notchのシグナルと接着の相反する2つの機能がどのような機構で制御されているのかを、Notchを切断するADAM、及びADAMを阻害するTIMPという2つの分子の観点から解析する。更に、実際の炎症組織で、どの細胞がNotchリガンドを発現することで、免疫細胞の集積に関与しているかを、組織切片やNotchとリガンド結合の阻害物質の投与、Notchを欠損する細胞をマウス炎症モデルに移入する等の方法で、明らかにしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度中に論文の掲載にまで至らなかったため、掲載費を次年度に繰り越した。 また予定していた日本分子生物学会への参加を体調不良で取りやめたため、その分の旅費を次年度に繰り越した。 繰り越した分は、現在投稿中の論文の掲載費、及び物品購入費に充てる。
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