2014 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウィルス感染に対する新たな治療戦略樹立を目指したメカニズムの解明
Project/Area Number |
25860296
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 利洋 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00595712)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | インフルエンザウィルス / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
気道上皮細胞株(MLE-12)ならびにマクロファージ株(RAW264.7)をインフルエンザウィルスで刺激し、エピジェネティックマーカーの発現解析を網羅的に行ったところ、両者で、H3K9のメチル化(転写抑制)を誘導する酵素SET domain, bifurcated 2 (SETDB2)の有意な上昇を認めた。次にインフルエンザウィルス肺炎死亡例の剖検肺組織におけるSETDB2の遺伝子発現を検討したところ、健常肺と比較しSETDB2の有意な上昇を認めた。また免疫組織化学染色では、健常肺と比較してインフルエンザウィルス肺炎死亡例の剖検肺組織における気道上皮細胞やマクロファージにSETDB2ならびにH3K9meの発現亢進が見られた。 次にインフルエンザウィルス感染後5日後に肺炎球菌を経気道感染させることにより作成した二次性細菌性肺炎モデルにおいて、SETDB2が誘導されないIFNαR-KOマウスでは、野生型(Wild-type; WT)マウスと比較して生存率の有意な改善が見られた。WTマウスとIFNαR-KOマウスの病態を解析すると、IFNαR-KOマウスではWTマウスと比較して炎症を中心とした組織ダメージの軽減や、炎症性サイトカイン(IL-6, IL-12p40)・ケモカイン (CXCL1, CCL2)の有意な低下が見られた。またIFNαR-KOマウスでは、上皮成長因子の一種であり気道感染時に保護的な役割を有するAmphiregulinの有意な上昇を認めた。さらに気道上皮細胞株(MLE-12)にSETDB2をsiRNAでノックダウンを行い、インフルエンザウィルス(H1N1)やtype-I IFNで刺激すると、SETDB2をノックダウンすることによりAmphiregulinの発現上昇が見られた。
|
Research Products
(3 results)