2013 Fiscal Year Research-status Report
慢性膵炎モデルの構築と膵星細胞を標的とした分子標的治療-膵線維症解消と膵再生-
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25860298
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤田 龍介 北海道大学, 農学部, 研究員 (70553775)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 慢性膵炎 / アルコール / 星細胞 / 線維症 |
Research Abstract |
ラットにおける慢性膵炎病理モデル作出を目的として、有機スズ化合物(DBTC)およびアルコールの投与を行い、投与開始10週後に組織の解析を行った。DBTC単独投与では膵臓内の繊維は慢性的に維持されているものの総胆管周囲に限局しており、小葉内線維化は認めらず、線維症の発症率も40%程度であった。アルコール単独持続投与においては著しい体重の減少は認められたものの、慢性膵炎の発症は認められず、膵線維症も認められなかった。一方、DBTC投与後にアルコールの持続投与を行ったところ、重症化し、一部個体で重度の膵線維症が認められた。DBTC投与後早期にアルコール投与を開始した場合には急性膵炎を発症する個体が認められたが、線維症の慢性化を伴った個体は得られなかった。一方、DBTC投与により膵管閉塞が見られるようになる6週後からアルコール投与を開始した場合には急性膵炎の発症は少なく、DBTC単独投与個体に比べて線維症の進行した個体が確認された。DBTC単独投与個体と異なり、DBTCアルコール併用投与個体では総胆管周囲以外にも小葉間、小葉内の線維化が認められ、部位によってはランゲルハンス島内にも線維化が認められた。これらの結果より、DBTC投与により線維症の慢性化を誘導し、その上でアルコールによる急性のダメージを与えることで臨床像と一致する慢性的な膵線維症を発症させることが可能であることが明らかとなった。 また膵線維症の詳細を解明するために膵間質およびランゲルハンス島の星細胞に対して免疫染色を行ったところ、それぞれ異なる表現型を示すことが明らかとなった。膵間質、ランゲルハンス島それぞれから星細胞を分離し、遺伝子発現を解析したところ、両星細胞間に違いが見られ、膵組織には少なくとも2種類以上の星細胞が存在することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究計画にあったDBTCおよびアルコールの投与による膵炎誘導については計画通り実施し、これらの個体に対して体重変動、解剖所見のデータを取得した。また組織切片の作製および染色による解析まで実施し、計画通り慢性膵炎の発症の検証を行うことができた。結果、目標であった慢性膵炎を呈する個体の作出まで完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は実施計画にある通り、慢性膵炎個体の膵における星細胞の分布について免疫染色等により詳細に検討を行う。また膵再生の機構を調べる目的で膵細胞の分離・培養系の確立を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
3月に納品された物品 (76,550円分) に関して、当大学では業者への支払が翌月となっているため。 納品済みの消耗品 (76,550円分) の支払とする。
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