2013 Fiscal Year Research-status Report
C型肝炎を正常化するHCV非構造蛋白質発現組換えワクチニアウイルスの作用機序解明
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25860305
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
大槻 貴博 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 研究員 (10593642)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | C型慢性肝炎 / マクロファージ |
Research Abstract |
C型肝炎の病態の進行には炎症性単球(IM)およひマクロファーシ(Mφ)が深く関与すると考えられるが、C型肝炎の病態を解析するためのモデル動物がいないためあまり解析されていない。申請者らはC型肝炎モデルマウスを作製し、解析を行ったところ、肝臓において炎症性サイトカインを産生するM2マクロファージ(M2Mφ)が優位に存在している事が分かった。さらにHCV非構造蛋白質発現組換えワクチニアウイルス(rVV-N25)を作製し、このマウスに接種したところ接種1週間で肝臓を正常化し、肝臓内の炎症性M2Mφが減少している事が分かった。rVV-N25は、肝炎を起こしている炎症部位のIL -6、TNFa 産生 M2Mφを減少させる事によりC型肝炎を正常化している事が示唆されたが、その機序については不明である。rVV-N25がいつから、どの段階で、どのようにM2Mφを減少させているかを明らかにするため、平成25年度は、rVV-N25接種による肝臓内M2Mφの別臓器(骨髄、脾臓、脂肪)への移動について研究を実施した。rVV-N25接種により肝臓に存在していたM2Mφが他の臓器に移動している可能性が考えられる。事実、脂肪組織ではIL- 6産生M2MφがrVV-N25接種後に増加しており、肝臓から脂肪組織へ移動した可能性が考えられる。そこでC型肝炎モデルマウスの脾臓からCD11b陽性細胞を分離し、その中に存在するMφをFITC標識F4/80(マウスMφマーカー)抗体で標識した。体内動態を解析できるかどうか調べるために、FITC標識したMφをC型肝炎モデルマウスに静脈内注射により移入した。肝臓、脾臓内リンパ球を分離し、FACSで移入したリンパ球が存在するか解析した。C型肝炎モデルマウスの血清中サイトカインをBioplexにより定量を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本実験で使用するC型肝炎モデルマウスの作製を行った。このマウスはC型肝炎の病態を発症させるために生後2ヶ月でpolyICの投与によりHCVの遺伝子をスイッチング発現させる必要がある。実際の病態が現れるまでにpolyIC投与後3ヶ月かかるので、実験に使用するためのマウスの準備を随時行っている。また、研究実施計画ではMφの識別にEGFPを発現するLys-Mマウスを使用する予定であったが、検討末、同一系統のC型肝炎モデルマウスの脾臓からCD11b陽性細胞を分離し、分離した細胞内に存在するマクロファージをFITC標識したF4/80抗体で特異的にラベルし、病態を発症するC型肝炎モデルマウスに静脈内注射により移入する方法に変更した。そのため平成25年度に実施する予定の達成度が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、25年度に引き続きrVV-N25接種による肝臓内M2Mφの別臓器(骨髄、脾臓、脂肪)への移動について解析を進める。FITC標識F4/80抗体で染色したMφをpoly(I:C)投与3ヶ月後のCN2-29/MxCreマウスの静脈内に移入し、rVV-N25を皮内接種後1、3、5、7日に肝臓、脾臓、脂肪組織を採材し、各臓器からリンパ球を分離後FACSにより解析する。rVV-N25未接種(移入のみ)と比較し、rVV-N25接種により炎症性M2Mφが、どの臓器に移動したか調べる。その際IL-6, TNFa, IL-10, Arg-1産生M2MφをFACSで解析することで、移入により機能的なM2MφがM1Mφなどに分化していないかも解析する。また実際に血中の炎症性サイトカインが減少しているかどうか血清をBioplexにより定量的に測定する。加えてrVV-N25接種による肝臓へのIMの供給不足の検討も行う。rVV-N25が骨髄からの肝臓へのIM供給不足、すなわち骨髄から血中へ、血中から炎症部位である肝臓へのIMの供給が減少しても肝臓内のM2Mφは減少するで、rVV-N25がどの段階でIMの供給が不足しているか調べる。IMはIM上に発現するCCR2依存的に骨髄から血中へ移動する事が知られているでpoly(I:C)投与3ヶ月後のCN2-29/MxCreマウスの背中にrVV-N2 5を皮内接種し、接種後1、3、5、7日に肝臓、脾臓、脂肪組織、骨髄からリンパ球を分離し、FACSによりIMおよびM2Mφの分布を解析する。実際に血中の炎症性サイトカインが減少しているかどうか血清をBioplexにより定量的に測定する。これによりrVV-N25が骨髄からのIMをどの段階で抑制しているか、また接種後いつからこのような変化が起きるのかを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度使用予定であったマウス実験の計画が予定より遅れたため、実験動物関係、抗体培養関係にかかる費用が繰り越されたため。 平成25年度に使用する予定の残りの額と26年度分を合わせて、実験動物関係、抗体培養関係、拡散蛋白解析試薬、成果発表(旅費、論文投稿料)に使用する。
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[Journal Article] In vivo therapeutic potential of Dicer-hunting siRNAs targeting infectious hepatitis C virus.2014
Author(s)
Watanabe T, Hatakeyama H, Matsuda-Yasui C, Sato Y, Sudoh M, Takagi A, Hirata Y, Ohtsuki T, Arai M, Inoue K, Harashima H, Kohara M.
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Journal Title
Sci Rep.
Volume: 4
Pages: 4750
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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