2013 Fiscal Year Research-status Report
マクロファージにおける細胞死制御機構とその生理的意義
Project/Area Number |
25860322
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
高江洲 義一 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60403995)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞死 / マクロファージ |
Research Abstract |
感染症や敗血症などの新規治療法開発に繋がる基盤的知見を得るため、TAK1結合タンパク質TAB2による活性化マクロファージの細胞死制御機構の解明に取り組んだ。平成25年度は、Tab2欠損骨髄由来マクロファージ (Tab2KO BMDM)にLPS刺激を与えるとアポトーシス様の細胞死に陥ること、この時、TAB2/TAK1の下流で働くp38 MAPKおよびIkappaBの活性化は正常に起こることを確認した。また、TLR4以外のパターン認識受容体を活性化させた場合の影響を調べるため、Tab2KO BMDMをPam3CSK4, poly I:C, C12iE-DAP, L18 MDPで刺激したところ、poly I:C刺激の場合のみ、LPSと同程度に細胞死が起こることを見いだした。したがって、ここで見ているTab2KO BMDMの細胞死はTRIF依存的に起こっている可能性が示唆される。さらに、TAB2による活性化マクロファージの細胞死制御が敗血症の予防に役立つかどうかを調べるために、マクロファージ/顆粒球特異的コンディショナルノックアウトマウス (Tab2-mKO)を作製した。予備実験として、野生型とTab2-mKOそれぞれ4匹ずつに LPSを腹腔内投与したところ、投与から24時間以内に全例が死亡した。この実験では、野生型とTab2-mKOとの間に差は認められなかった。今後、十分な戻し交配を重ねた上で再度実験する予定である。以上の結果の一部を、2014年2月に米国で開催された国際学会(キーストンシンポジウム、開催地:ニューメキシコ州サンタフェ市)にてポスター発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Tab2KOマクロファージがLPS依存的にアポトーシス様の細胞死に陥ることを確認し、そのメカニズムとしてTRIF依存的な機構が働いている可能性を見いだしたことは大きな前進であった。コンディショナルノックアウトマウスの作製からスタートしたin vivoの実験についても、初年度中に予備実験まで行うことができた。国際学会での発表を当初予定より前倒しして平成25年度に行った。全体として当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
最近、マクロファージにおけるLPS誘導性の細胞死にTRIF-Caspase11経路が関与することが報告され、注目を集めている。Tab2KO BMDMのLPS依存的な細胞死にこの経路が関わっているかどうかを明らかにするため、Tab2, Trif二重欠損マウスまたはTab2, Caspase11二重欠損マウスを作製して、in vitroの実験を行う。in vivoの実験に関しては、まずは十分な戻し交配を重ねた上で検証を行うことが最優先事項であるが、TAB3がTAB2の機能を代償している可能性も考えられるので、Tab2,Tab3二重欠損のコンディショナルノックアウトマウスも作製して解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究が当初の計画以上に進展し、国際学会での発表を1年前倒しで行った。また、計画では実験動物の飼育にかかる費用を物品費として計上していたが、実際には「その他」の項目で支出した。これらの変更があり、本年度所要額と実支出額に若干の差が生じた。 次年度においても細胞培養試薬等の消耗品を必要とするので、物品費の一部として使用する計画である。
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Research Products
(1 results)