2013 Fiscal Year Research-status Report
結核菌のニューキノロン耐性に係る遺伝子変異の解析及び結晶構造解析
Project/Area Number |
25860329
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
金 玄 国立感染症研究所, その他部局等, 研究員 (90648817)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 結核菌 / DNAジャイレース / 薬剤耐性菌 / ニューキノロン / X線回折 / 立体構造解析 |
Research Abstract |
本研究では、ニューキノロン耐性結核菌の遺伝子変異検出を基盤とした迅速なニューキノロン感受性試験を可能とするために、ニューキノロンのターゲットである結核菌のDNAジャイレース上のアミノ酸置換とニューキノロン耐性との関係を明らかにする事と結核菌由来DNAジャイレースの立体構造解析から、新規抗結核薬の開発につながる新規キノロン誘導体のデザインを最終的な目標としている。 平成25年度は以下の2つの研究を行った。 1)組換えDNAジャイレース遺伝子のクローニングおよび大量発現と精製。実験用株である結核菌H37Rv株とキノロン耐性株である結核菌osaka株から、DNAジャイレースであるGyrAのN末端部分(502アミノ酸残基分)をコードする遺伝子をそれぞれPCR反応によって増幅させた後、発現用ベクターに挿入したプラスミドを構築した。作製したプラスミドをそれぞれ発現用の大腸菌に導入して発現系を構築し、IPTG誘導による目的蛋白質の過剰発現が確認された株について大量培養を行った。菌体を集菌し、超音波破砕装置を用いて細胞内画分を抽出した。FPLCを用いて2種類のカラム操作により、SDS-PAGE上でほぼ目的タンパク質のみが検出される状態になるまで、H37Rv株由来GyrA(N末)とosaka株由来GyrA(N末)の精製を行った。 2) 組換えDNAジャイレースの結晶化。 上記1)で得られた精製H37Rv株由来GyrA(N末)とosaka株由来GyrA(N末)について、市販の結晶化スクリーニングキットを用いて結晶化条件のスクリーニングを行った。その結果、H37Rv株由来GyrA(N末)およびosaka株由来GyrA(N末)のそれぞれについて、X線測定が可能な結晶を作製することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各タンパク質の野生型DNAジャイレースの結晶化ができ、DNAジャイレースとニューキノロン剤の共結晶の条件を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は以下に示す2つの研究を進める。 1)DNAジャイレースとニューキノロン剤の共結晶化条件を決定。 結核菌由来DNAジャイレースの立体構造については、これまでに複数報告されている。しかしながらDNAジャイレースとニューキノロン剤の結合様式の詳細については、まだ明らかにされていない。そこで、25年度で得られた結晶の条件を用いて結核菌株由来DNAジャイレースおよびosaka株由来DNAジャイレースとニューキノロン剤の共結晶を作製する。 2)変異型のクローニングおよび大量発現と精製。 DNAジャイレースの変異が耐性菌出現の要因となっている。それでDNAジャイレースの変異と耐性獲得機構の詳細な関連性を明らかにするためにそれぞれの野生型DNAジャイレース精製方法を用いてニューキノロン耐性に係わる変異型DNAジャイレースのクローニングと大量発現および蛋白質の精製を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成26年度の研究費が平成25年度より減るので平成26年度の研究費と一緒に使うために少し残した。 次年度研究費は、平成25年度に残った分と合わせて蛋白質実験に必要な一般試薬および消耗品、結晶化のために必要な試薬類の購入に使用する。さらには、回折データ取得実験のための放射光科学研究施設への旅費、成果発表および情報収集のための国内および国外学会への参加費および旅費、また論文出版のための経費に使用する予定である。
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