2013 Fiscal Year Research-status Report
結核菌オートファゴソーム形成におけるPE_PGRS62の役割
Project/Area Number |
25860331
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
Principal Investigator |
祝 弘樹 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 研究員 (70443116)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 結核菌 / PE_PGRS62 / オートファジー |
Research Abstract |
機能未知な結核菌PE_PGRS62を病原因子として同定した。PE_PGRS62をノックアウトした結核菌(deltaPE_PGRS62)はマウスへ感染させると病原性が低下していた。また、deltaPE_PGRS62へ相補的にPE_PGRS62を発現させたコンプリ株は、マウスにおける病原性が回復傾向にあった。以上の結果から、PE_PGRS62が新たな結核菌病原性タンパク質であることが示唆された。 結核菌PE_PGRS62タンパク質が局在するヒト培養細胞内の膜構造物には脂質滴が含まれることがわかってきた。これまでの解析から、オートフォゴソームの主要なマーカータンパク質であるLC3が、PE_PGRS62の存在している膜には存在しないことがわかった。しかしながら、1)PE_PGRS62により誘導される膜構造物には、電子顕微鏡解析すると2重膜構造が観察される、2)形成された膜が脂質滴を含む、以上のことがわかったので、脂質滴と関係するオートファジー関連タンパク質との関係を解析を計画している。 マクロファージ内ではPE_PGRS62の局在を観察できなかったが、293T細胞、HeLa細胞、A549細胞でその局在が観察され、HeLa細胞やA549細胞内ではPE_PGRS62が脂質滴を含む膜に存在することもわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
安定的な結核菌培養の確立が必要になった。液体培地による震盪培養で調製した結核菌はマウスにおける病原性が低下した。我々の研究グループで実績のある液体培地による静置培養で結核菌が再現性良く病原性を示した。感受性マウスは約90日で死亡し、抵抗性マウスは約200日で死亡した。 現在は、結核菌、PE_PGRS62をノックアウトした結核菌、PE_PGRS62をノックアウトした菌にPE_PGRS62を相補した結核菌の3種類の菌株を使用し、PE_PGRS62遺伝子が病原因子であることを証明するための追試実験を行っているところである。結核感受性のマウスであるBALB/c系統を使用して評価すると、一回の実験に180日程度かかる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究の実施により、研究難度が非常に高い、結核菌の新しい病原因子の同定ができそうである。病原性が高く、生育速度の遅い結核菌の培養、さらにマウスでの病原性解析には時間がかかった。 結核菌PE_PGRS62タンパク質はヒト培養細胞内で膜輸送に関係することがわかってきたので、今後は細胞生物学的な手法やPE_PGRS62を発現した結核菌を用いた培養細胞レベルでの解析を駆使した実験を実施し、研究期間が短く、効率が良い研究も推進する。 今回の研究で得られた結核菌の病原性評価・結核菌の培養のノウハウを生かして、結核菌と宿主応答の研究を継続・推進する。
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