2014 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内膜輸送系を利用したE型肝炎ウイルスの放出機構の解明
Project/Area Number |
25860343
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
長嶋 茂雄 自治医科大学, 医学部, 講師 (60433116)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | E型肝炎ウイルス / エクソソーム / 多胞体 / 出芽 / 放出 / エクソソーム分泌経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
E型肝炎ウイルス(HEV)の感染細胞からの放出には、エクソソーム分泌経路が関与していることを明らかにしてきた。本年度は、HEVのエンドソーム内腔への出芽機構ならびにMVB(multivesicular body)と細胞形質膜との融合によるウイルス粒子の放出機構を、電子顕微鏡標本を用いた形態学的な解析により検討した。また、HEV感染細胞から放出されたエクソソームの性状について解析を行った。 電子顕微鏡を用いてHEV感染細胞を観察した結果、MVB内腔に膜に覆われたウイルス粒子が認められた。さらに、免疫電子顕微鏡法ならびに蛍光抗体法による解析により、これらのウイルス粒子がHEVであることが明らかとなった。また、詳細な電子顕微鏡観察を行った結果、エンドソーム膜から内部に出芽中のウイルス粒子像が観察された。さらに、MVBと細胞形質膜が融合している像が観察され、そこから膜内小胞(エクソソーム)と共に、膜に覆われたHEV粒子が細胞外に放出される像が観察された。以上の結果から、HEVはエンドソーム膜に出芽することにより膜成分を獲得することが明らかとなった。また、エクソソーム分泌経路を利用したHEVの放出機構が形態学的に示された。 HEV感染細胞から放出されたエクソソームの性状解析では、精製したエクソソーム中に、エクソソームのマーカー蛋白質であるCD81に加え、ウイルスのORF2およびORF3蛋白質が存在していることが明らかとなった。そこで、感染細胞に由来するエクソソームを新たなPLC/PRF/5細胞に接種した結果、細胞内においてウイルス蛋白質の発現が認められ、培養上清中にHEV粒子が産生された。このことから、感染細胞に由来するエクソソームが、HEVの感染を媒介していることが示唆された。
|
Research Products
(4 results)