2013 Fiscal Year Research-status Report
高度のエイズウイルス中和抗体誘導を示す新規サル群の感染免疫学的解析
Project/Area Number |
25860348
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
山本 浩之 国立感染症研究所, その他部局等, グループ長 (80574615)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | HIV / SIV / 中和抗体 / CTL / エイズ / B細胞 |
Research Abstract |
本研究1年目では、最も抗体抵抗性が高い抵抗性サル免疫不全ウイルスSIVmac239に対しても中和抗体(NAb)を高率に誘導する初の持続感染サル群(n = 9)につき、性状をこれまでに明らかにしてあるNAb非誘導群(n = 17)と比較しつつ感染免疫学的解析を行った。 NAb誘導群の最も特徴的な性質として、ウイルスの病原性アクセサリー蛋白NefのN末端非構造リンカー領域におけるG63E変異選択が多くの場合(7/9例)NAb誘導に先行することを見出した。詳細なエピトープマッピングを行った結果、この変異はNef62-70特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)からのエスケープ変異であることが見出された。当該CTLを拘束するMHCクラスIアレルはMamu-B*039:01, MamuーB*004:01を代表として予想に反して複数に亘り、当該アレル保有率ではNAb誘導の有無で差がなかったのに対しNef G63EエスケープSIVの選択率はNAb誘導群で対照群と比べ有意に高かった(p = 0.0008)。 Nef G63E CTLエスケープ変異体SIVの感染動態解析を行った結果、培養細胞におけるウイルス複製能は野生株SIVと比して変化はなく、CD4/MHC-I発現抑制などの基本的な病原性も野生株と同等であった。一方非常に注目すべきことに、Nef G63E変異体SIVは野生株SIVと比し、感染サルCD4陽性T細胞株におけるAkt Ser473リン酸化の(Thr308リン酸化と同期しない)選択的低下を呈し、細胞死亢進に結び付く表現型を示すことを発見した。同時にこの性質は感染CD4陽性T細胞株と共培養しNef陽性となるB細胞にもインポートされ、Akt-FoxO1経路が主要な分化・成熟抑制経路となるB細胞に対する可溶性Nefの撹乱能が直接的に低下する可能性も見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
世界初となるSIVmac239中和抗体誘導サル群の解析を行い、in vivoで当該群に高率に生じる、時系列的に先行するCTLエスケープ変異体ウイルスの先行選択を発見した。更にin vitroにおいて、中和抗体誘導のin vivo修飾に直結しうる非常に特徴的な当該変異ウイルス表現型の同定に至り、概ね順調に進展しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
中和抗体誘導群におけるin vivo免疫学的関連因子の高精度の解析を行うとともに、見出された特徴的なAkt修飾ウイルスのより詳細なin vitro性状解析を行う。特に、当該ウイルス表現型の上流因子につき包括的な解析を試みる(合計¥1,300,000程度)。研究成果を各種の国内・国際学会で発表すると共に学術誌へ論文を投稿する(合計¥300,000程度)。
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Research Products
(6 results)