2013 Fiscal Year Research-status Report
インフルエンザウイルス感染モデルにおける長期生存型抗体産生細胞の維持機構の解明
Project/Area Number |
25860377
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
小野寺 大志 国立感染症研究所, その他部局等, 主任研究官 (90513143)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 免疫記憶 / ワクチン / インフルエンザウイルス感染症 / B細胞 / 抗体産生細胞 |
Research Abstract |
平成25年度における研究において、第1にインフルエンザウイルス特異的な記憶B細胞からの長期生存型抗体産生細胞の供給が実際に生体内で起きているのかを確認する実験を行い、更にどのような記憶B細胞サブセットがこの供給に関与するかを明らかにした。第2にその供給過程においてCD4+T細胞等、他の細胞集団の関与がどれほどあるのかを検討した。 その結果、全粒子ワクチンを投与したマウスから形成された記憶B細胞をIgHアロタイプの異なる同系統のマウスに移入したところ、新たな追加免疫をすることなく、移入細胞数依存的に移入後3週目から血中に移入細胞由来抗体が検出され、さらに5週目をから顕著な増加に転じることが明らかとなった。一方、既に抗体産生細胞に分化した細胞を同様に移入したところ、1週目から移入細胞由来の抗体が血中に確認できたが、それ以降増加することなく徐々に減少に転じた。記憶B細胞はCD273, CD73, CD80, Bil-cadherin等の発現の有無で様々なサブセットを形成しているが、更に今回、この長期抗体産生細胞の供給に関わる記憶B細胞サブセットを同定するため、それぞれのマーカーで分離した記憶B細胞を上記と同様の実験系でレシピエントマウスに移入したところ、CD273陽性、CD73陽性の記憶B細胞において顕著に長期抗体産生細胞の供給が行われることが明らかとなった。これらの事から、当初の目的である長期抗体産生細胞の供給源となる記憶B細胞サブセットの同定に成功した。更に、この長期生存型抗体産生細胞の供給に記憶B細胞以外の細胞集団が関与するかを検討したところ、CD4陽性T細胞を生体内において除去することにより、骨髄中の長期生存型抗体産生細胞数が顕著に増加することが判明した。これらの事より、本年度では長期生存型抗体産生細胞の供給における細胞学的基盤を明らかとすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の当初の目的である長期生存型抗体産生細胞の供給源となる記憶B細胞サブセットを同定し、更に当初の予定には無かった、この供給過程に関わら他の細胞集団の関与の解析を行った結果、CD4陽性T細胞がこの長期生存型抗体産生細胞の供給過程を負に制御していることを明らかとした。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、平成26年度ではこのインフルエンザウイルス特異的記憶B細胞の中でも、長期生存型抗体産生細胞の供給に関わるCD273陽性、CD73陽性記憶B細胞サブセットと他の記憶B細胞サブセットの発現遺伝子群と、インフルエンザウイルス感染、もしくは全粒子ワクチン接種後においてのみ特異的に記憶B細胞において発現する遺伝子群との比較を行い、そのどちらの集団においても発現上昇が認められる遺伝子群を絞り込み、in vivoスクリーニングの実験系を用いることにより、この供給に関わる責任遺伝子を特定する。また、更に派生的に明らかになったCD4+T細胞の関与に関して、どのようなCD4+T細胞サブセット(Treg, Th1, Th2, Th9, Th17等)が関与しているのかを細胞移入実験、もしくは細胞除去実験により明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初研究計画において使用予定であった分子生物学用試薬の購入を実験計画の修正に伴い次年度に繰越したため。 当該年度に行う予定であった長期抗体産生細胞の遺伝子発現解析に伴うベクターの構築を次年度に行う予定である。
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