2014 Fiscal Year Annual Research Report
アルコール依存・再燃の予防および治療に関わるエピジェネティクス制御機構の解明
Project/Area Number |
25860394
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
水尾 圭祐 札幌医科大学, 医学部, 助教 (90459735)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アルコール / HDAC5 / PP2A / Cdk5 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は前年度の結果を元にCdk5とPP2Aのアルコール依存および再燃形成における詳細な役割を明らかにするとともに、これらの阻害薬を用いてアルコール依存の予防および治療の可能性を模索した。まず、liquid diet による10日間のアルコール処置と同時期にCdk5阻害薬である roscovitine (ROS)を脳室内投与すると、liquid diet 処置群で認められるアルコールの離脱症状が認められず、アルコール依存の形成が抑制された。また、liquid diet 処置群の側坐核周辺で認められるHDAC5の核外移行は、ROS 処置群においてほぼ完全に抑制されていた。一方、liquid diet 処置後、離脱直前に ROS を投与したマウスにおいては離脱症状の軽減は認められず、HDAC5の核外移行も抑制されなかった。このことより、Cdk5はHDAC5のリン酸化を介してアルコール依存形成に重要な役割を担っていると考えられる。さらに、アルコール依存形成後10日間休薬させるとその後のconditioned place preference (CPP)によるアルコール精神依存が増強するが、休薬期間中にPP2A阻害薬の cantharidic acid (CA) を脳室内投与すると、CPPの増強が認められず、再燃形成が抑制された。さらに、通常、再燃形成マウスでは側坐核周辺においてHDAC5の核内での局在が増加するが、CA 投与群におけるHDAC5は核内移行が抑制されていた。これらのことより、PP2AはHDAC5の脱リン酸化を介してアルコール再燃形成に重要な役割を担っていると考えられる。以上、本研究の結果、Cdk5やPP2AによるHDAC5のリン酸化調節機構がアルコール依存および再燃形成に関わっており、これらの阻害薬を用いることでアルコール依存を抑制できる可能性が示唆された。
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