2013 Fiscal Year Research-status Report
エズリンをシードジーンとする胎盤機能制御遺伝子ネットワーク解析
Project/Area Number |
25860396
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西村 友宏 慶應義塾大学, 薬学部, 助教 (40453518)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 遺伝子ネットワーク解析 / トランスポーター / 胎盤 / 胎児発育不全 |
Research Abstract |
胎盤における栄養物供給トランスポーターの機能は胎児発育に重要である。細胞膜トランスポーター分子群と細胞骨格を連結するエズリンは、トランスポーターの機能制御因子であり、エズリンの遺伝子欠損マウスは胎児発育不全を呈する。我々はこれまでにエズリン遺伝子欠損マウス胎児はヒポタウリン濃度が低下すること、ヒポタウリンはSLC6ファミリーにより細胞膜輸送されることを明らかにしてきた。本研究において、妊娠中期のラット胎盤においてSLC6A13とエズリンが一部共局在することを明らかにした。また、エズリンがSLC6A13の機能に与える影響を遺伝子強制発現細胞系により検討したが、エズリンは培養細胞にも高発現するため、エズリンのSLC6A13に対する影響を検討するためには、実験系のさらなる最適化が必要であることがわかった。また、エズリンおよびSLC6A13が形成する分子複合体が、さらに異なる分子群との相互連関を解明するため、タンパク質相互作用を検討している。相互作用解析に必要なSLC6A13の部分ペプチドの精製やタンパク同定の予備検討は終了し、胎盤においてSLC6A13と相互作用するタンパクを探索中である。同定したタンパク群から包括的はネットワーク解析を行い、胎児発育不全に重要な遺伝子群とそれらの相互関係を明らかにする。これらにより、胎盤におけるエズリンを起点とする栄養供給機構とその制御機構および生理的役割が明らかになると期待している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子発現系におけるSLC6A13の機能解析およびそれに対するエズリンの影響、胎盤に置けるSLC6A13とエズリンのタンパク質分布の共通性、SLC6A13と相互作用する遺伝子群の探索を行っている。SLC6A13の遺伝子強制発現系での機能解析は順調に達成されたが、内因性エズリンの影響により、外因性エズリンによるSLC6A13への影響が解析困難である。細胞系の変更など一部実験系の最適化が必要である。ラット胎盤組織におけるSLC6A13およびエズリンの共局在性は、当初の目的であった妊娠中期から妊娠後期までの妊娠経過に伴う変動と共に解析が達成された。また、エズリンとSLC6A13の相互作用も検出された。タンパク質相互作用解析によるSLC6A13-エズリン複合体関連タンパク群の探索は当初の予定通りの予備検討までは終えている。適切な実験規模にスケールアップした上で、タンパク同定が可能性になると推察される。 以上より、概して研究計画は順調に進んでおり、当初の計画からの大幅な変更はない。
|
Strategy for Future Research Activity |
遺伝子強制発現系における内因性エズリンの影響を最小化するために、用いている細胞の変更あるいは内因性エズリンを発現抑制することで解決されると見込まれる。本研究中に発表された最新の文献からは後者による方法が最適であると考えられるが、費用と時間はかかる。タンパク質相互作用は予備検討が終了した段階であるため、今後SLC6A13に対するタンパク質相互作用が充分に検出できるラット胎盤細胞を準備することで、同定可能となる。技術的な問題は特にない。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究を遂行に必要な費用が別予算にて補助的に得られたため、消耗品の購入費用が当初の計画よりも少ない費用支出となった。最も費用がかかると予測していた実験部分が予備検討にとどまり、予算の執行が若干予定よりも遅くなっているが、研究計画自体は概ね予定通り進んでおり、研究計画に変更はない。 前年度の試験により、やや遅れている研究計画は今年度の早い時期に遂行される予定である。また、遺伝子強制発現に関する実験計画など、予定よりも費用がかかると推測される実験結果も得られているため、期待する研究成果を得るためには今年度の費用は当初予定していたよりも多くかかる見込みである。本年度が研究計画の最終年度であり、研究の遂行も予算の執行も当初の研究計画から大きな変更無しに進められる予定である。
|
Research Products
(6 results)