2013 Fiscal Year Research-status Report
In-situマーカーとしての尿中エキソソームを用いた尿路上皮系細胞機能の解明
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25860413
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
中山 亜紀 文京学院大学, 保健医療学部, 助手 (00599425)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 尿中エキソソーム / 二次元電気泳動法 / 質量分析法 / Tamm-Horsfall protein |
Research Abstract |
健常人尿中エキソソームタンパク質プロファイルの確立: 腎・尿路系細胞から尿へ分泌されている膜性小胞であるエキソソーム分子を構成するタンパク質を明らかにするため、健常人尿中エキソソームタンパク質プロファイルを確立を目指して研究を実施した。分離能に優れた二次元電気泳動法と、高速液体クロマトグラフィ・質量分析法(LC-MS/MS法)を組み合わせて、健常人尿から分離されたエキソソームタンパク質を同定した。血中からの漏出タンパク質であるアルブミンやIgG、遠位尿細管から分泌される多量なTamm-Horsfall proteinなど、いわゆる尿タンパク質との区別を行うため、エキソソーム分離前の尿検体のタンパク質も同時に同定し、コンタミネーションと成りうるタンパク質を明らかにした。本成果は、今後、尿から分離されたエキソソーム分子のプロテオーム解析において、基礎的なデータとなる。 エキソソーム表面抗原検出法のための基礎的条件検討:今後、臨床検体を用いたプロテオーム解析や、尿中エキソソームの細胞間相互作用を解析するために、エキソソームを破壊せず、直接的に検出する必要がある。そのため、エキソソーム表面に普遍的に発現している、Rab-5b、およびCD63を検出する、サンドイッチELISA法を確立した。さらに、フローサイトメトリー法で検出すべく、抗CD63抗体を用いて条件検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究実施計画として掲げていた健常人尿中エキソソームタンパク質の同定が終了した。臨床検体を用いたマーカー探索を予定していたが、腎障害患者尿には、血中由来のタンパク質の混入が顕著になることが予想される。そのため、通常の分離法に加え、エキソソーム特異抗原を利用するなどして、追加で精製する必要がある。以上の理由から、臨床検体を用いたエキソソームタンパク質の解析よりも、エキソソーム表面抗原の検出を優先して検討すべく、ELISA法やフローサイトメトリ―を用いた検出法の基礎的解析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
尿中エキソソーム直接検出法の確立: 血清などでは、腫瘍細胞の転移や、ウイルス感染の拡大に、エキソソームが関与しているという報告がある。これらの細胞にはに他の細胞から分泌されたエキソソームに対するレセプターがあり、細胞への取り込み機序が存在することを意味している。腎・尿路系細胞より分泌される尿中エキソソームにおいてこのような細胞間相互作用に関する報告が未だない。糸球体-尿細管上皮細胞間などの細胞間相互作用をエキソソームが担っているとするならば、例えば、糸球体障害が重症化することによって引き起こされる二次的な尿細管障害の疾患メカニズムを理解することができるようになるかもしれない。このメカニズムの解析には、尿中エキソソーム表面タンパク質を直接的に検出し、由来する細胞を明らかにする必要がある。 H25年度までは、腎・尿路系の上皮細胞から分泌されたエキソソームの構成タンパク質を網羅的に同定してきた。H26年度からは、次の段階として、各細胞表面に特異的に発現している抗原タンパク質を検出し、エクソソーム分子分泌細胞を明らかにする。本研究結果は、各細胞から分泌されているエクソソームの機能を明らかにするための、基礎的な情報と成り得る。既に基礎的条件設定を行っているので、複数の細胞特異的なタンパク質抗原を用いて検出を試みる。検出方法としてはELISA法、フローサイトメトリ―法、免疫電子顕微鏡法を使用する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
13,850円が平成25年度の残金となったが、研究は概ね計画と通りに実施している。 試薬や器具類の消耗品の購入に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)