2013 Fiscal Year Research-status Report
ペリニューロナルネットが関与する顎顔面領域の神経障害性疼痛病態機構の解明
Project/Area Number |
25860425
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
関 善弘 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (30597274)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 神経障害性疼痛 / 細胞外マトリックス / 三叉神経脊髄路核 / 三叉神経主知覚核 |
Research Abstract |
顎顔面部領域における手術や外傷後に、創部が治癒しているのにもかかわらず、感覚過敏や痛覚過敏が持続する場合がある。近年、大脳の視覚野やバレル皮質においてペリニューロナルネット(PNNs)と呼ばれる糖タンパク質群が神経可塑性を制限することが報告され、注目を集めている。PNNsが神経可塑性を制御していることから、PNNsが疼痛感覚異常の発生機序に関与していると考えられるが、この分野に関する詳細な報告はほとんどない。そこで本研究では、顎顔面領域神経障害性モデル動物を用いて、糖鎖が関与する疼痛感覚異常の病態機序を検討し、治療戦略の一助とする事を目的とした。 顎顔面領域における疼痛感覚異常の研究は、三叉神経第II枝あるいはIII枝の傷害モデルを用いて検討されている。しかしながら、実際の歯科臨床では神経線維のみを傷害する術式はなく、臨床に即したモデルでは検討されていない。そこで申請者らが作出した齧歯類の咬筋、および側頭筋切除神経傷害モデル(Seki Y. et al., J Oral Pathol Med, 2009; Harada S. et al., J Oral Pathol Med, 2012)を使用して三叉神経主知覚核、および三叉神経脊髄路核についてに組織学的な検討を経時的に行った。 結果を以下に示す。1、三叉神経主知覚核において、手術後28日でWFAの発現強度は反対側より手術側で有意に低下していた。また、アグリカンの発現強度は変化がなかった。2、三叉神経脊髄路核において、手術後3日目と28日目でWFAの発現強度は反対側より手術側で有意に上昇していた。また、手術後3日でアグリカンの発現強度は反対側より手術側で有意に上昇していた。これらの変化は顎顔面部領域の痛覚過敏や、疼痛過敏が持続するメカニズムに関与している可能性がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度に予定していた動物実験にやや遅れがある。 組織学的検討は行われているが、神経障害性疼痛を評価するためのモデル動物の行動実験が計画通り進んでいない。 また、ウイルスベクターのサブクローニングが計画通り進んでいない。
|
Strategy for Future Research Activity |
計画通り、モデル動物に対して神経障害性疼痛の評価を行い、行動実験のデータを解析する。また、組織学的検討においても三叉神経主知覚核や、三叉神経脊髄路核だけではなく、三叉神経節の神経細胞についても検討を加える。三叉神経感覚枝は、運動枝と異なり、一度三叉神経節の神経細胞を介しており、三叉神経節を組織学的に検討することは、神経障害性疼痛の病態機序を解明する上で、重要な課題であると考えられる。 さらに、ニューロン標的型Tet-Off発現レンチウイルスベクターの構築を進める。
|